2015/4/10

西川美和「永い言い訳」  Art・本・映画

西川美和の映画が好きだ。
小説版「ゆれる」を読んで衝撃を受けDVDを購入。以来全ての映像作品を見てる。
2年前に映画「夢売る2人」を見に行ったけど、これも素晴らしかった。

西川さんの映画に出てくる登場人物はいずれも疵を抱えてる。ハッキリ言ってダメ人間(笑)
隠し事があったりウソをついたり犯罪に手を染めてる。
葬式詐欺、お互いを騙し合う兄弟、ニセ医者、そして結婚詐欺をする夫婦。
みんな、それなりの大人だし一見するとまともな人なのに何かの弾みで転落する。
わざわざ危ない方に行くし、やっちゃいけないことをやる。
それ言っちゃおしまいなんて事を言う。
見てて「なぜもっと上手く立ち回らない。アホか?」と呆れてしまう。
でも、オレは西川さんの映画に登場するダメ人間達がたまらなく好きだ。
ダメで愚かだけどみんな必死に生きていて活き活きとしてる。
立派な人間が努力して最終的に勝利を得る物語なんぞ見たくない。

西川さんは映画だけじゃなく幾つか小説を書いてる。
今回西川さんが上梓した新作「永い言い訳」。ここに出てくる主人公もダメ(^_^:

クリックすると元のサイズで表示します
(あらすじ)
主人公の小説家人気作家の津村啓は長年連れ添った妻が事故死したのに・・悲しめない。
他人の目を気にして「悲しむ演技」をする一方、妻の死後1週間も経たないのに愛人と寝る。
津村は同じ事故で亡くなった妻の友人の夫陽一とその子供たちと交流し、
ひょんな切っ掛けで陽一の育児を手伝うようになる。
陽一一家との交流で津村は少しづつ変わっていく。一方で亡き妻と交流のあった陽一から
生前の妻の姿を色々教えてもらう。それは津村が全く知らない姿だった。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163902142

通常の話なら主人公と友人の夫家族との交流を経て
お互い同じ境遇の者が励まし合い再生するみたいな筋立てになるだろう。
実際、そういった展開になるしオレも途中まで「喪失から再生の物語」と思っていた。

とんでもなかった。そんな簡単な「甘い」物語じゃなかった。
流石西川美和。主人公と読者に色んな罠をしかけていた。

穏やかな癒しの物語が途中から別の様相を見せだす。津村は暴走し出す。
度々キレたり、周囲を傷つけたり余計なこと言ったり死んだ妻を侮辱したり。
こいつ、ホントにどうしようもねーな。ガキか?バカじゃないか?
それやっちゃダメだろ?なぜ、そっちに行く?

笑っちゃったけど・・・同時に笑えなくなった。こいつ・・オレとそっくりだ。
いや、オレは愛人いないし別に作家の才能もないが・・根本でオレと同じニンゲンだ。
大人の顔を被ってるけど中身は子供(ガキ)。他人(ひと)との人間関係を上手く築けない。
クールを気取ってるようで実は他人が怖くてたまらない。それを理屈で武装して隠してる。
臆病者、弱虫。なんか「昔(と思う(笑))の自分(テメェ)」を見てるみたいだ。(^_^;

そして主人公が妻の死を悲しめないのも・・・何か他人事(ひとごと)と思えなかった。
オレ、子供の頃から「悲しむ」という感情がスッポリ抜けていた。
小学校から大学まで卒業式で泣いた記憶が無い。
先生や同級生と離れても大して悲しくなかった。
大好きだったお爺ちゃんやお婆ちゃんの葬式でも泣かなかった。
イジメられたり悔しかったり情けなくて泣いたことは何度もあるが「悲しくて」泣いたことは無い。
そもそも「悲しい」ってどんな感情だ?ワカラン。
それは数年前オヤジが亡くなった時も一緒だった。
母や兄や妹は泣いていたがオレは泣けなかった。素直に泣ける家族が羨ましかった。
父親が死んだのに涙ひとつ流せないオトコ。流石に自分が怖くなった。

オヤジの死を「悲しい」と思い泣けたのは・・・4年も経ってからだ。遅すぎるだろ?
しかも、なぜかヒロシのライブで父を想って泣いた。(笑)
あれが「悲しい」という感情だったんだろうか?

まぁ最近は年齢もあってか、何となく「悲しい」という感情も分かる様になった。
素直に涙が出てくるようになった。オレのココロも「氷」では無かったようで安心した。

だから、津村が他人に思えない。昔の自分(テメェ)を見てるようだ。
オマエ、アホだな。アホすぎるよ。
今まで、一番大切な物が何かわかんないまま生きてきたんだな。
それが何だったか、自分が何にしくじったか、何を喪ったのか、ようやく気付いたんだな。
遅すぎるよ。でも・・・それに気づいたのはエライ。よかったじゃん。

紆余曲折を経て主人公は・・・ある心境に達する。そこで物語は終わる。

ラストを読み終えた時、とても爽やかだった。ラストシーンちょっと泣いたかも(笑)
西川さんのいつもの作品に感じる「モヤモヤ」は無かった。
思いがけずも温かなキモチになれた。キモチよくページを閉じた。

これ是非、映画化して欲しいなぁ。西川さん自身が監督で。
主人公は誰が演じるといいかなぁ。複雑なコンプレックスを持ったイケメン男子。
オレ的には稲垣吾郎ちゃんがイイな。あと陽一は玉山鉄二か山田孝之で(笑)

西川美和・・やはり侮れないな。現在新作を準備中とか。次作も是非見よう。
さ、ヨモちゃん。明日はお休みだ。イッパイ遊んでイッパイ笑おうな♪

クリックすると元のサイズで表示します
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ