「浜岡原発は「津波対策までの運転停止」ではなく「廃炉」を!」
政治とか経済
静岡県・御前崎にある、浜岡原発は、東海地震による津波対策が行われていないとして、その津波対策の工事が終るまでの数年間だけに限定された形で、運転停止の要請が、菅直人総理大臣から出されましたが、これを根拠に、中部電力は、津波対策工事の完了後の【運転再開】を、国や県や地元自治体に対して、今も尚、頻繁に働きかけているというニュースが、静岡の地元TV局などでは報道されています。
中部電力、浜岡原発の全原子炉停止を発表 2、3年後に運転再開方針 - SankeiBiz(サンケイビズ)2011.5.14
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110514/bsd1105142237003-n1.htm
また原発推進勢力は、「反原発・脱原発」世論が各種世論調査で7割に達するという情勢の中、津波さえ対策すれば原発は「安全」なのだという形での巻き返しに必死で、本日のニュースでも福島第一原発が、地震発生直後から津波到達までの間は、配管等の破断を裏付けるデータが無く安全装置も正常に働いていたという「新データ」なるものを発表しました。
安全装置 津波来るまでは正常 NHKニュース5月16日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110516/k10015926061000.html
これは、彼らによる「津波さえ防げば原発は安全」という、新たな「安全神話」の宣伝戦略です。
しかし私は、浜岡原発の場合は、福島とは異なる別の可能性も有る事を、指摘しておきたいと思います。
それは、約100〜150年周期で発生している通常の(短周期の)「東海地震」とは異なり、約1000年周期で、大規模(数m以上)な地盤の【隆起】を、御前崎地域において起している、「超・東海地震」の可能性です。(下記記事参照↓)
東海から琉球にかけての超巨大地震の可能性
名古屋大学大学院環境学研究科
古本宗充
http://cais.gsi.go.jp/KAIHOU/report/kaihou78/11_07.pdf
これは、非常に長いプレート境界の固着域を持つ連続発生的な地震の場合、その長い境界の両端で、プレート沈降速度が大きく違う場合という、スマトラ島沖と非常に似た条件にある地形において、大規模な地殻変動を伴なう地震が、約1000年周期に起こるという、比較的に新しい「学説」です。
(海岸地区に残る段差状の地形が「証拠」とされています)
またこれは、比較的にプレートの沈降スピードの遅い側(駿河湾付近)で、早い側に比べて長い間かかって歪が蓄積されるエネルギーが、一挙に解放される事によるのではないかという「仮説」も議論されて居る様です。
今回の東北太平洋沖の地震も、1000年に1回などと言われていますが、日本が、原子力発電を始めて「わすか」40年の間に起きてしまった訳です。
ならば、上記の大規模な地殻変動(=隆起)が起きる1000年に一度も、実際に起きる事は考えねばなりません。
仮に、原子力発電所全体が、完全な【剛体】の様に振舞って、配管等の破断が全く起きなかったと仮定しても、1000年に1度ですが、わずか【数mでも地盤が隆起】してしまえば、2次冷却系に用いている海水の取水口は、完全に陸地になり干上がってしまい、冷却水が取りこまれない「可能性」が有るのです。
よって私は、浜岡の様な「南アルプス」から連なる褶曲(隆起)地形の場合は、津波に対する防潮堤を作るなどという短期周期地震対策だけでは、安全性は【完全には】保証されないと考えます。
浜岡原発の、「運転再開を前提にした一時的な運転停止」という、これまでの国の「安全神話」からすれば、大げさに言えば「革命的」な【第一歩】に、いつまでも浮かれている場合では、決してありません。
今こそ、浜岡原発は「津波対策までの運転停止」ではなく「廃炉」を目指した世論を盛り上げ、当座の「津波対策」に回す予算が有るならば、その予算は廃炉・解体に向けて使うべきとの声を上げるべきでは無いでしょうか?
世界トップクラスの地震大国である上に、国土も狭い日本に、そもそも原発を立地するのは無理が有ると言えるのではないでしょうか?
そして、更に言えば、原子力発電が【安価なエネルギー源】というのも、それは電力会社にとってだけの話であり、真っ赤な【大嘘】で有る事は明かにされています。
原発は安物買いの銭失い | 地下のカリエール(くろまっくさんブログ:2011/5/13記事)…
http://gold.ap.teacup.com/multitud0/662.html
…の中で紹介された本(再生可能エネルギーの政治経済学:大島 堅一:東洋経済新報社)や、コメント欄で紹介されたニュースソース…
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20110511-01-0901.html
…等を御参照下さい。(私も勉強するつもりで居ます)
必ずしも前回記事…
脱・原発に向けた具体的ロードマップに向けて(素案)
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/117.html
…の様な「一つの筋道」でなくても構いません。とにかく早急に多種多様な【具体的なロードマップ】を、それぞれ各政治勢力が具体的に国民に提示して、それを国会での議論に附して、一刻も早い「脱・原発」への一歩を踏み出すべきです。
その為にも今や、これまでの国家の「安全神話」に基づいた電力政策の転換として、象徴的な意味を持つに到った【浜岡原発の運転停止】を、更に次の一歩に進めて【運転再開に向けた工事】を止めさせて、逆方向に【廃炉】に向けた決断を政府に求めていきましょう。

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