政局が慌しさを増しています。今回は昨今の情勢について書きます。
これまで「政局ゴッコ」で離散集合を繰り返してきた各政党ですが、国民の主体的な政治参加の道が(海外に比べても非常に高額な供託金制度などで)非常に狭く制限された日本では、国民の声は埒外に置かれたまま、最近では…橋下氏が新党の立ち上げに必要な5人の国会議員を確保したとか、その橋下氏が自民党の安倍元総理にラブコールし、まんざらでも無い自民党内では非主流派に置かれている安倍氏も、自民党の総裁選への出馬を表明したり(どうせ橋下氏に御輿として担がれるだけでしょうが)、これまで橋下氏にラブコールしても、最近は落ち目なので拒否されている小沢氏までもが、ここ最近の日韓関係の悪化に乗じて、従軍慰安婦問題に関して政府や軍の関与は否定できないとする日本のこれまでの公式見解だった「河野談話」を見直すべきだと、それを先に主張していた橋下氏や安倍氏に迎合したりと、まことに(国際的に見ても)醜悪極まりない状況になっています。
ちなみに「河野談話」に関しては、下記を参照して下さい。
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 - Wikipedia
ちなみに「河野談話」の話が出たついでに、従軍慰安婦に関してでですが、さして更新頻度も高くなく、最近までは自分の日常の事ばかり書いてきた拙ブログでは、これまで確かにテーマとして取り上げた事は無かったのですが、過去にJCPウォッチという掲示板が有った当時から、私は何回も発言してきましたが、戦地に【従軍】しているなどと言う事自体からして、軍人を宥(なだ)める為の軍の要請・関与・許諾無しに売春宿など設置出来る筈も無く、いくら昔の男尊女卑の家長制度や農村部の貧困があった所で(当時の日本も東北の農村部では娘買いますの看板が堂々と出ていた)、何処の世界に娘が一晩に20人以上の男達に(当時の日本人の売春婦でも1日5人程度)まさに【道具】として性器を壊され死ぬまで酷使される【従軍慰安婦】などという存在の実態を知って、それに自発的に成ろうとする人間が何処に居るというのでしょうか?
これは、まことに「おぞましい」話ですが、日本の朝鮮半島の植民地支配の当時には、朝鮮人男性でも日本のタコ部屋(製鉄所等)に強制連行されて、北海道の室蘭などのイタンキの浜などでは、戦後になってかなり経過した今も人骨が出てくるというのに、女性だけは「強制」では無かったなどという話など、世界中の何処の人だって信用しない、まさしく【妄言】でしょう。
※:当時の日本の、性的搾取の非道さや、すさまじさについては、漫画ですが…
「
親なるもの断崖 第1部 : 曾根富美子」
…などが、オススメです。
今の政局は、07年の閣議決定の「軍の関与が有ったという明確な証拠は見つからない」などという【妄言】を繰り返して垂れ流し(そんな証拠なんか残す組織が有るか?)、その意味では不十分ですらある「河野談話」でさえ撤回する事を求める人間を中心に回っており、これでは(こんな偽の愛国主義を垂れ流す人間に政治を任せては)日本はますます国際的な孤立を深めるだけだと思わます。
米国の議会では、これまでの「従軍慰安婦」の呼称を、新しく「性奴隷」として表現するというニュースも聞きました…実際に日本には戦前・戦中までは逃げ出す事が許されない「奴隷」が確実に有ったのですから、これは正しい認識変更でしょう。
まぁ、国家(という組織)に【至上の価値】を見出す「右翼」の知的な退廃は、ネットに溢れる引きこもりの「ネット・ウヨ」の気色悪い文章を読むまでも無く、明白な事に思われます。
しかも、こうした極右勢力が、実際の国民の世論に比例した国会での勢力に留まっていてくれれば、まだいいのですが、民主党は選挙制度「改革」案などと称して、0増5減などという小手先の見直しに比例代表制の定数枠を大幅に削る案を、先日に衆院で単独採決し、削られた比例枠での当選者数を小選挙区での惜敗率(得票率)に応じて増やすという「連用性」などという、元々は公明党の発案である制度を盛り込むといって、公明党の取り込みを図っており、ますます民意と掛け離れた議会構成になる可能性が増しています。
この「連用制」というのは、単純小選挙区制や、現行の「並立制」よりは、「よりまし」とは言えますが、これは比例中心(基本)では決して無い制度であります。
つまり、簡単に言えば小選挙区での惜敗率(得票率)に応じて、比例代表議席枠内での議席配分を増やすという制度案なので、これが決して、基本的に議席数を得票に比例させる比例代表を【基礎】にした選挙制度案に抜本改革するというロジック(論理構成)を持つ案では無い事は明確で、単に大政党の温情?で決められる比例枠での議席数について、現状の「小選挙区比例代表並立制」に対する微修正に過ぎない事は明白であり、今後の力関係次第では(現に民主党が提出した法案の様に)、その単なる大政党の「温情」である「比例代表制度の議席定数枠」自体が、削られる可能性は捨てきれませんし、議席数を小選挙区での勝敗に基本的には全く依存させない、ドイツ流の「小選挙区比例代表併用性」やら、昔の我が党の政策であった「全議席を都道府県単位での比例代表で」とかとは、根本的には違うものです。
参考までに、選挙制度改革については、本ブログでも下記の提案を行なっています。
選挙制度改革について考える(私案)2012/2/12日付
上記でも遜べましたが、私は中選挙区制時代に、日本共産党が掲げていた「都道府県単位での全議席の比例御代表」という、地域独自の意見も一定は反映するという、中選挙区制度の良い部分を取り入れつつも、基本は「比例代表」という【論理構成】の方が、折中的な「連用制」よりも、よほど広く理解が得られる条件が、今こそあると考えるのですが、何故?日本共産党が過去に掲げていた改善策を見直して、再度(いまこそ)掲げないのかが、不思議でしょうがないのです。(苦笑)
このままで行けば、前回の本ブログの記事…
「
左翼の国家観と戦争に対する態度」
…で遜べて、コメント欄で指摘された私が感じる「最大限の侮蔑」の対象となる様な、選挙と人気を目当てにして、国内の問題から目を逸らさせて、対外的に無原則な強硬姿勢を取る「国家」を演じる事と(ますます国際的に孤立する事と)、その間に国内では橋下氏などがこれまでの所は「公務員」を標的に演じてきた、思想信条の自由までを含めた「人権」の抑圧と、更には…これまでの新自由主義的な歴代の政権が進めてきた様な、最低限の福祉やセーフティーネットまでを切り詰めて、貧困層を更に増やしても「自己責任」で生きていけ(もしくは死ぬなら死ね)といった、将来に不安を抱く多くの国民が、さらに追い詰められる様な政権になる事は、選挙をやる前から目に見える様です。
なぜなら、絶望した国民には、善悪は別にして、現状を(他者に)何とか変えてくれという、受身での強いリーダーシップのみを求めるという、選択肢しか無い様に感じられるであろうからです。
現状の民主主義の内で重要な位置を占める現状の代議制民主主義においては、無論ですが「民意を良く反映した議会構成」になる事は、マイノリティー等が声を上げていく道を開き、アローの不可能性定理が予言する様な「独裁」の必然を廃して、より多くのマイノリティーの政治参加による、ゲーム理論で言う所の「勝利提携」が形成される様な形(多党制)が望ましいのでありましょう。
欧米各国の選挙制度を見ても、政治が国民の為に上手く働いているのは、アメリカやイギリスの様な小選挙区で2大政党制を実現している国というよりも…その2国の政治は退廃し経済は金融依存で没落している…ドイツの様に「併用制」みたいな「比例が基本」の国で連立政権が常態化している国の様な気がするのは、私の考え違いでしょうか?
しかし、民主主義の精神の全てが現状の「代議制民主主義」に有るという訳でもありませんので、湯浅誠氏の近著(オススメ)である…
「
ヒーローを待っていても世界は変わらない」
…で遜べられている様に、主権者である民衆自身が、誰かや何処かの党の受け売りでは無く、自分の頭で考えて、政治に積極的に働きかけていく(変えて貰うではなく、自ら変える)という、選挙以外の時でも積極的に、政治に参加するという「主体性」もしくは人任せにしない「規範意識」というモノが、必須である事は、言うまでも無い事です。
そこが、現代日本においても(自戒を込めて)まだまだ弱い事が、こうした与党の暴走を許す余地を与えているのでしょう。
別に私は、日本共産党だけを責めるのを目的にしているのではありません。
しかし、自分が所属している政党ながら、情け無いと思っている事は事実です。
選挙制度改革一つを取っても、【具体的な対案】を出さない(出せない?)事にも、その理由が現われています。
日本の左翼の再建の為には、ゲーム理論なども含む、最新の経済学や政治学といった社会科学も、必要であれば例えばエネルギー問題では自然科学やら工学も、どんどん積極的に学びつつ、行動し発言する個人達と、その連帯が求められるでしょう。
日本共産党が、そこに資する事が出来るか否か?は、日本共産党自身の「自己改革」の努力次第となると思います。
しかしその第一歩となる提案の一つにでもなればと思い、私も本ブログに…
「
日本左翼の再建の為の、日本共産党の自己改革(案)」
…を稚拙ながらも書き、党中央の同志にも、ここで公開している事実と同時に、全文をメールで送りましたが、その答えが…規約違反(
どこが?)の疑い?だの何だのという反応だけというのは(無論処分はされてませんが)、いまだに情け無い事ではあります。
民主主義と子育てには、時間と手間が掛かるというのは、けだし名言でしょう。
しかしこの日本政治の破滅的な前兆が現われている時に、あまり悠長な事は言ってられませんし、国民の多くの実感は、もう待てないというのが当らずとも遠からぬ所でしょう。
破局を避け、変革を起こすのであれば、もう時間は無制限にある訳では無く、今しか無いのではないでしょうか?
今回(今月の本記事)は、最近の日記で私が書いた文章から、基本的に改変と手直ししただけの記事になってしまいましたが、あまりの情勢の悪化に対し、政治に関する理論的?な問題だけでなく、時事問題を扱わざるを得ないと思い、駄文をしたためました。(苦笑)
また、本記事を書くに当り、古寺多見さんのブログである「きまぐれな日々」の…
たとえ「脱原発」が総選挙の争点になろうとも
…にもインスパイアを受けましたので感謝して申し添えます。
また御意見等を頂ければ幸いです。
※8/31追記:本文は、我が日本共産党の中央委員会メール室にも「意見書」として送付しました。
※9/24追記:
コメント欄での議論を受けての、従軍慰安婦問題に関する問題解決方法の私の提案
(1〜10)
1)確かに有意義な面もあった
アジア女性基金の再開には別に反対では無いが、
一理は有る国際的な否定的評価への対処も無いままで、また慰安婦問題を利用して愛国主義に回収する一部の韓国運動体や政治屋がある限りは、同じ結果に終わるだろう。
有意義な面というのは、これが韓国以外の国には受け入れて貰えた事である。
また「慰安婦問題を利用して愛国主義に回収する一部の韓国運動体」とは、最も重要な、慰安婦本人の心から、誰かを【憎むという苦痛】を取り除く事を置き去りにして、自己の政治的な立場に利する為に(慰安婦問題を)利用している存在の事である。
2)仮に大臣クラスが(元慰安婦へ謝罪に)行った所で、日本側には、せっかく「
河野談話」があっても、安倍内閣時の反動的な「
閣議決定」の様な、日本側の慰安婦問題を無かった事にしたい反動勢力の存在が片付かない限りは、韓国の慰安婦問題を利用する一部の運動体や政治屋が利用する口実は無くならず、現状では面会すら(元慰安婦の精神的な苦痛からの保護等を理由に)拒まれる社会的・政治的な圧力が掛かる可能性は排除できない。
【補足根拠】
過去には、受け取りを促したNPO法人の人が入国拒否された例等…
ソース:
女性のためのアジア平和国民基金 - Wikipedia(問題点の項)
3)韓国内での、慰安婦問題を利用して愛国主義に回収する一部の運動体や政治屋の排除には、外部からの日本人では無く、やはり韓国の中の良識的人々に期待する部分が大きいが、それは現状では、日本国内で日本の政治を変える以上に、困難な面も有る事は否めない。
それは、日本国内では韓流ドラマが放映されたり韓国人アイドルなども活動しているが、私の知っている韓国人の話によれば、韓国内では、自分が親日派だと公言するだけで、周囲から距離を取られ疎外された雰囲気になるなどからの経験からも判断できる。良識的な韓国人は韓国内でも分断され孤立している。
4)現状の様に、韓国側が反日愛国を煽る為に慰安婦を道具にしている【だけ】だと日本側が言い、他方の日本側が「
河野談話」と「アジア
女性基金」の努力にも関わらず、07年の安部内閣の様に軍の関与を認めないなどの反省が見られない歴史無視の反動だと【だけ】韓国側が言っていたら、それ【だけ】では、互いに同じレベルに堕してしまい問題は一歩も動かない。
ここでちなみに、07年の安部内閣の「
閣議決定」とは、「当初、定義されていた強制性を裏付ける証拠はなかった」と遜べた当時の安倍総理の見解を追認したもので、この「当初、定義されていた」とは、南方戦線で行なわれていた様な銃剣で脅し人狩りする事に限定される様な、極めて【狭義】の意味である事は明確であるが、世間一般的に【強制】とは、「その人の意思にかかわりなく」強いる事一般を指す。よって元の「
河野談話」にあった、甘言(
騙して別の仕事だと勧める強制性)だけでなく、当時も国際的に違法であった(相手の貧困に付け込んだ)人身売買等によって、【慰安婦本人】の意思にかかわりなく強いていたという、一般的な意味での【強制】が朝鮮半島でも有って、それを日本官憲や軍が容認(認可)していた事は明白であり、安倍内閣の「
閣議決定」には、その責任を結果的に不問にしようとする反動的な【意味】がある。
5)よって、既存の国民国家を絶対視しない日本の左翼としては、彼ら良識的な韓国人への、何らかの(武器となる)連帯アクションを、何か送る必要がある。
(それを具体的に以下に述べる)
6)尚、日本には既に「
河野談話」があり、歴代内閣が継承をしている現状にあるし、
アジア女性基金という実績もある。
そこで単なる官房長官の談話に過ぎなかった「
河野談話」を、例えば「軍の直接かつ強制的な関与に関しては、そうした文書が組織として残される事が考え難い事や、当時の混乱の中で失われた可能性はあるが、戦地に慰安所を設置するという事情や、
国家総動員法などが施行されていた当時の日本の国情(軍事国家であった事実)を考えれば、否定し難い事である」などの補強文章を入れて法律の前文と為して、補償金が民間からの基金だった「
アジア女性基金」とは異なって、国家(それも国権の最高機関である立法府)による道義的責任を明確にした「法的措置」にまで【発展】させる事を目指す。
(具体的には、現在は韓国政府が行なっている、慰安婦への補償措置の肩代わり等)
これは、仮に野田氏が追加措置に前向きでも、確かに困難かもしれないが、韓国人自身が韓国の民族主義的な慰安婦問題を利用する一部の運動体や政治屋を取り除くよりも更に困難という事では無く、むしろ韓国に比べて客観的に見れば「あと一歩」の事であると思われる。
私が「あと一歩」とする具体例としては、下記の法律などが参考になるからである。
平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律(法律第百十四号(平一二・六・七)
これは、サンフランシスコ平和条約の発効に伴い、日本国籍を離脱した朝鮮人日本兵(軍属を含む)に対しては、1965年 「日韓基本条約」及び「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」「同上協定第2条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」に従い、本来大韓民国がその補償の義務を負うが、様々な歴史的経緯と政治的事情を鑑み、朝鮮人の元日本兵や軍属への個人保障をした法律の前例である。
こうした日本での立法の前例は、我々の努力しだいで日本国内で上記の「立法措置」を行なう為の広範な合意を得る、強力な武器となるだろう。
7)これが時間的な制約が有る事だという事を、もしも真剣に考えるならば、このままでは展望の無い、単なる延長線でのアクションだけでなく、6)の様な新たなアクションを今こそ真剣に考えるべきである。
8)よって弱体化したとは云え、日本の左翼は、ささやかながら…私が日記で公開した様な総理への「立法化」を促すアクションなどを、多彩にそれぞれが置かれた立場で、考え実行に移すべきである。
(各政党や国会議員に働きかける等)
参考:私の「日記」2012/9/20付
http://d.hatena.ne.jp/atsushi_iga/20120920
上記のなぞなぞ認証の回答は「日本共産党」
9)仮に、それを尚も韓国の慰安婦問題を利用する一部の運動体や政治屋が拒絶するのであれば、ますます韓国の慰安婦問題を利用する一部の運動体や政治屋が(慰安婦が生きている間の実現が疑われる外交的に高いハードルを)掲げる【下心】は鮮明になるし、韓国国内に居る良識的な人々への、連帯的なアクションにもなる。
よってこれは決して時間の無駄では無いし、日本が日本側として(相手に関係なく)果たすべき責務の一つに過ぎない。
これは更に、結果的に国際的な裁判所などに訴えるなどで、慰安婦に残された時間を無用に奪う事を避ける為にする事である。
10)現状を変える困難さは、良識的な人にとって、日本側にも韓国側にもあるだろうが、この問題を主体的に考えるなら、相手や誰かに期待して動かない理由は無い。まして【時間的な制約】があるならば、尚更の事である。有り得る可能性は【全て】追求されるべき。困難さを理由に躊躇すべき事では無い。

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