少し時期を逸してしまったが、この意見書を送って1カ月経ったので、ここで晒します。
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タイトル:日本共産党の今後の発展についての意見書
差出人:伊賀篤(atsushi_iga@hotmail.com)2015/1/15 11:46
宛先: 日本共産党中央委員会
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日本共産党中央委員会の同志の皆様の日々の健闘に敬意を示し連帯を表明します。
私は、静岡県西部地区・北浜北支部に所属し、党歴25年(47歳)になる、伊賀篤と申します。
さて、昨年末の衆議院選挙では、議席倍増の躍進に、おめでとうと申します。
しかし、もちろん現行の選挙制度の問題はあるにせよ、まだ「維新の会」の半分の議席・「公明党」の3分の2の議席に留まっている事は、今の日本が急速な「格差」拡大と貧困層の増大、憲法9条の改憲(廃止)勢力の伸長の危機という切迫した情勢に対しては、まだまだ心もとなく、与党は殆ど議席を減らさない結果とも合わせて考えると、今回の選挙結果は、独り日本共産党の勝利というよりも、他の野党が余りに情けない状況に有る中で、低投票率にも表れた、消極的な有権者全体の選択の結果という、シビアな現実も見なければなりません。
私が今回、意見書を差し上げたのは、我が党が【政権】を担うに足る状況を、周囲の情勢の変化に単に委ねるのではなく、自ら切り開いていき、政党たるもの【政権】を担ってこそ初めて果たせる責任を全うする為に、まだまだ我が党に足りないと思える点に関して、愚直ながら率直に一党員として党規約に定める義務と権利として、党中央委員会と、委員長である、志位同志に対して、御意見を申し上げる事にあります。
@:
まず1点目は、今回の選挙で我が日本共産党は「経済政策」として、大幅な賃上げと雇用の拡大を、大企業の内部留保を原資として、実現させる事を訴えましたが、当面は「資本主義」という経済体制の中で、生活者や労働者の権利の前進を実現させるには、この政策だけでは有権者に対して、充分な夢やロマンを与える「ビジョン=当面の青写真」にはなっていないのではないのか?…という点です。
「資本主義」の現代では、日本共産党が掲げる大幅な賃上げが「可能」なのは、その原資を持つ大企業に限られており、その当然の結果として、我が日本共産党の掲げる政策を「そのまま」読む限りでは、その恩恵に【直接に】あずかれるのは、現在でも「相対的な」富裕層に属する大企業に勤めるサラリーマンだけになり、その下請けの中小零細企業への「下請けイジメ」を止めろと主張した所で、これは自民党・安部政権などの言う「トリクル・ダウン=下層への滴り落ち」の経済波及を期待しているのと、一般の有権者(大部分は非大企業の労働者)には【明白な違いのあるビジョン】に映らなかったのではないのか?という疑問です。我々は「新自由主義」的なマクロ的な金融緩和による経済政策を掲げ、弱者の救済を後回しにしたり切り捨てたりする構造的イデオローグと戦っているのですから、【敵を知り・自分を知る事】が百戦を危うくしない方法ですが、志位委員長を始めとした中央委員会の同志にとっては、当然でしょうが…新自由主義の元祖のフリードマンは御嫌いでしょうが、彼の言っていた事の中で、唯一リベラルと言える事に「負の所得税」という構想があった事は御存知でしょうか?。これは「所得保障」の手続きが所得確定の後になるか前になるかだけの違いで、基本としては新しい福祉概念の一つである「ベーシック・インカム=全社会構成員の基本所得保障」とも共通する概念です。
(尤も、フリードマンは、この「負の所得税」を除いた全ての社会保障サービスの全廃を主張していたので、そのままでは決して、生活者や労働者の「福利厚生」の向上には繋がりませんが)
資本主義の枠組みの中で単に「賃上げ」と言っても、先に述べた通りに、現在でも富裕層に属している原資の有る大企業の社員しか恩恵を受けませんし、下請けの中小零細企業イジメを止めさせると言っても、今の現実で4ある【資本主義経済体制】ではコストを如何に下げて【競争】に生き残り「効率化」を図るか?・・・以外の選択肢は、経済における各プレーヤー(経済主体)には与えられていません。
私は、「負の所得税」でも「ベーシック・インカム」でも構わないので、新しい社会での代替的な福祉社会の「青写真」を、革新勢力は、提示すべきだと思うのですが、類似で出て来るのは「最低保障年金」や「農家への個別所得保障」といった程度の事ぐらいです。尤も国際的な競争にあるグローバル経済の中では、一国だけが「負の所得税」にせよ「ベーシック・インカム」にせよ、実現させる事には困難が伴うのは、私も承知はしていますが、どうも革新勢力の政策の中に、大きなビジョン(青写真)が見えず、単に「労働組合」の有る企業ぐらいしか恩恵のない「賃上げ」や、小企業への優遇策といった、間接的で消極的な政策しか見えないのが、ちょっと残念な所です。志位委員長を始めとした、党中央の同志は、これを如何にお考えですか?
コンピューター化が進む現代においては【徴税】においても、国民の各個人レベルでの所得額や資産額の電算的なデータ把握は、有価証券の売買益に至るまで国民番号制度の導入で可能になるので、これは決して単なる【夢物語】では無く、資源の再配分方法として実現は可能ですし、これが経済の「効率化」の指標として現代の数理的経済学において用いられる「パレート効率」・厚生経済学の第二原理とも矛盾しない事は、数理マルクス経済学(AM)の日本における先駆者である、一橋大学経済研究所の吉原直毅教授(偶然・私と同じ年ですが)においても、インターネットで公開されている日本語論文で、あくまで原理的には(既に10年以上前に)明らかにされています。
「基本所得」政策の規範的経済理論:――「福祉国家」政策の厚生経済学序説――
後藤玲子・立命館大学大学院先端総合学術研究科、吉原直毅・一橋大学経済研究所、2004 年4 月22 日
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~yosihara/ronsou-9fukusikokkaseisaku.pdf
私は、広く国民一般に解り易く、今の新自由主義的トリクルダウンへの根本的な「対案」として、充分な夢やロマンを与える「ビジョン=当面の青写真」に成り得る、我が日本共産党の政策として、今こそ「ベーシック・インカム=全社会構成員の基本所得保障」を大胆に掲げるべきだと思います。
A:
次に2点目として、党規約を始めとした党運営の抜本的な見直しを、私は提案します。
今の日本共産党の規約は、当時委員長だった不破哲三同志の時代に、見直しが行われましたが、基本的には我が党の1950年における痛恨の歴史である党分裂を教訓として定められた「民主集中制」を原点としている点には大きな変化はありませんし、私も別に党の【団結】を壊して分裂を唆す様な事を規約に盛り込めなどという【暴論】を主張したい訳では決してありません。(これだけは最初に御理解を下さい)
しかし、現在の党運営の中では、例えば上記「@」に掲げた様な、日本社会の未来を巡る、経済政策的な意見の個人個人による【多様性】すら、公けには機関紙上で活発に議論されたり、例えば「下記」の様な…
資本主義分析の基礎理論研究の現状及び『新しい福祉社会』モデルの探求
吉原直毅、 一橋大学経済研究所、 初稿2011 年10 月1 日
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~yosihara/201112hikakukeizaitaiseigakkai.pdf
…の様な、マルクス以来の科学的社会主義の【健全な多様性を保障した相互議論】により、理論や政策をのものを、時には自分で疑う過程も含めて、喧々諤々と内部で「議論する姿」は、党外の有権者には伝わっていませんし、まして「党内の議論」に関してすら(地区党大会〜県党大会〜中央委員会総会〜党大会)、異論など全く無く【賛成意見】しか出ない状況で、これは一般社会(利益を確保するという一致点で行われる会社組織での「会議」でも、暮らしやすい地域を維持するという一致点で行われる町内会の「会議」でも)の【健全な「議論」の常識】からは、大きく掛け離れた、(悪い意味で)万年変わらぬ共産党という国民からのイメージを補強しており、このままでは既存の支持層を大きく超えた広い無党派層の持つ、共産党に対する負のイメージを自分から払拭する事ができません。
例えば、私は、ロシア革命史に関しても、自分で「学習」した結果として記の様な意見を公開しています。
「共産主義者はレーニンと絶縁し、今日的な資本主義批判に立ち返るべき」2013/3/31
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/140.html
経済学においても歴史館においても(名誉職に退いた不破哲三同志の意見のみが)変わらず「公式見解」として「学習」する様に言われるのみであって、広く学門一般に(本来の意味で)学び「自分の」意見を育てるという、本来は「科学的」社会主義の生命力が損なわれ、金太郎飴といった外部からの「批判」に本当に反論して乗り越える事はできません。そこで私は、下記の様な提案もしました。
「日本左翼の再建の為の、日本共産党の自己改革(案)」2012/4/8
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/130.html
【党の団結】という【原則】は、あくまで守りながらも、こういった党自身の自己改革は、必ずや有権者・国民の多数を占める無党派層をして、党に対するイメージや見方を変えて、今回の選挙戦での「勝利」を単なる一過性のモノにしない、更なる躍進に繋げる事が可能だと私は考え、規約に定められた権利と義務において、志位委員長と、党中央委員会の同志に、提案します。
B:
最後の3点目に、選挙方針と党財政運営に関する事で、意見を具申します。
今回の衆議院選挙では、我が日本共産党は、全小選挙区で候補を掲げて闘い、地方においては我が党が候補者を立てなければ、有権者が選挙を通じて議員を選ぶ権利そのものすら無くなる(対立候補が他には一人も居ない)という所すら少なく無く、その英雄的な挑戦には、私も大いに敬意を表し、党員としても応援しています。
しかし、多くの小選挙区では、法定得票数が得られず【憲法違反】とも一部の憲法学者からも言われている【供託金】を没収されてしまいました。同時に我が党は、個人個人が支持もしていない政党にまで自分の税金を使われるという意味で【憲法違反】の疑いの強い【政党助成金】は、受け取ってから国庫へ返納では無く、最初から受け取らない事で我が共産党分が他の政党に分配されてしまっています。
これは、どちらも、道義的に見れば【立派】な事かもしれませんが、我が共産党の支持者や党員も高齢化が進んでいる中で、供託金の為のカンパ一つにしても、大きな負担となり、各地区党の「専従」の同志への給与の支払いすら遅配されたり非常に劣悪な経済状況に(末端では)追い込まれているという【現実】にも、同時に党中央は目を向けるべきだとも思うのです。(これでは優秀な人材は集まりません)
「毒を持って毒を制す」ではありませんが、私は(せめて)憲法違反の【供託金】の分だけでも同じ憲法違反の【政党助成金】から賄い、残りは国庫に返納する(=つまり一旦は受け取ってから【供託金】分だけ差し引いて国庫に戻す)というぐらいの、現実的な機転を働かせても、誰も日本共産党を責める事は無いと(私は)思うのですが、こういった「意見」ですら、現実的に党の末端の置かれた現状に照らし合わせても、何ら「議論」に値しないという扱いを受けるのでしょうか?
私は、我が党の、そう遠くはない将来の事を考えても、この3点目の意見を追加せざるを得ませんでした。
最後に、党員の権利として、我が党の党員は、役職の如何に関わらず、党の誰に対しても(志位委員長同志に対しても)、党の何処の階級の機関にも(中央委員会にも)、意見を述べて、回答を求め、議論が出来るという「規約」を、党中央のメール係(インターネット関連担当)の方々が、守って頂けるものと信じて、御忙しい中で、お手数をお掛けする迷惑は申し訳無くも思いつつも、宜しく御伝え願えます事を祈り、このメールを送ります。
(尚、私=伊賀篤の事は、この衆議院選挙で静岡7区で闘われた、野沢正司・同志に聞いて頂ければ、身元も素性も解ります)
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ちなみに、この意見書への返答は下記のみ。(毎回のテンプレ)
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メールありがとうございました。
ご意見は、党指導部、関係各部門に報告します。
今後ともよろしくお願いします。
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日本共産党中央委員会
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