三交替勤務の人、または宇宙飛行中の人の運勢
人が眠つてゐる夜の間は、職場での人間関係とか、なくしたものが出て來るとか、交通事故に遭つてけがをするとか、運勢に書いてあるやうなことは、実際には起こりにくい。さうは云つても、地球を一律に昼と夜に分けて、昼用と夜用の占星術といふのも実用的ではない。

一昼夜(昼の部分と夜の部分の活動時間による按分)が公平でないのは、夜行性の動物に限らない。物理的に24時間の折半である昼夜を歪(いびつ)に生きているのは昔からだが、現代のやうな、昼間にみんなが活動して、夜はみんな寝てゐるとは云へない状況下で、占術の方はさつぱり進化してゐない。この進歩のなさこそ当たりの条件でもある。
数千億個もの恒星の周囲には、数限りない惑星が回転し、数限りない衛星が動き回つてゐる。一瞬たりとも同じ配置では有り得ない。しかも、地球の自転によつて、星は真上から直射する位置にあつたり、真横から何万人もの人間や何万棟もの建造物を串刺しにして当たる位置にあつたり、真下から地球のコアの超高温や超重圧をくぐり抜けなければならない位置にあつたりするのに、昼勤であらうが、夜勤であらうが、 180度裏側の方向にゐるときでも、三交替勤務の人達や、海外旅行中の人達や、宇宙衛星で地球を周回する人達にも、今日の運勢が24時間有効であるためは、個別にきちんと対応してはいけないということで、これこそ当たる占術であるための必須条件だ。
JFEエンジニアリング(旧日本鋼管)の団地に住んでゐて、同じ星座生まれの人が三交替勤務であつたりすると、夜勤の人は昼間に睡眠を取つてゐて、運勢に書いてあるやうな顕著な事は昼間には起こりにくい。昼勤の人と夜勤の人は同じ星の向きであるのに、昼勤の人が人間関係運や金運に縛られてゐる間、夜勤の人は運勢が動かない。夜勤の人は、イギリスやギアナの人々の生活時間帯と同じなのだが、星座の位置は彼らとはまるで逆になる。外国旅行用や、夜勤用や、宇宙衛星用の運勢があつたりしなければならない時代なのに、現状では、人の生活様式と運勢とは全く無関係のやうだ。

個々の状況を配慮しない。いはば
共通普遍こそ当たりの正体なのだ。グローバルなインターネット時代の
占術は常に共通普遍性を貫かねばならない。

〆(..)para1002n(ぱら仙人)

次回に続く


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