
厳しく、寒い冬を乗り越えて……
ここ北海道の山中においても、いよいよ本格的に青々とした若葉が
あちらこちらの木々で色づきはじめていた。

そう、今回の「宙マン」はまさに、そんな北海道の大自然が舞台である。
ビーコン「いや〜、いよいよ北海道も春ホンバンって感じっスね〜!
そしてオイラはもちろん、年がら年中頭の中が春らんまんっスよ〜。
ヒヒヒ、今日も今日とて、
二次元美少女との生ホンバンを……」
げ し っ !
落合さん「のっけから何ですかビーコンさんっ、その飛ばしすぎ発言はっ!
……そんな馬鹿な事にうつつを抜かしてる暇があるんでしたら、
私の仕事を少しは手伝って下さいませんこと?」

ビーコン「ハンニャラ、ヒ〜っ……
て、手伝うったって、具体的に何をどーすりゃいいんスかぁ?」
落合さん「ふふふっ、ビーコンさんにしてはなかなかいいご質問ですわね〜。
ほらっ、ちょっと、あの辺りを見てみて下さいませ――」
そう言って、落合さんが指差した場所にあったもの……それは。

ビーコン「おおっ、なんか生えてるっスね!?」
落合さん「はい、これこそ正真正銘のギョウジャニンニクです。
北海道では古くから、「アイヌネギ」の通称で親しまれてきたとの事ですわ――
油との相性がいいので、お料理に手広く使えるのが嬉しい山菜ですわね〜。
厳しい北の自然ですが、こうして時に、気前よく四季の恵みを与えてもくれるんです」
ビーコン「なぁるほど、つまりは
北海道ツンデレ説っスね!」
落合さん「……ま、まぁ、そういう事にしておきましょうか(汗)」
ビーコン「ヒヒヒ、今夜の山菜料理フルコース、楽しみにしてるっス!
じゃ、オイラはこの辺で〜」
落合さん「……ってお待ちなさい、何を他人事みたいに仰ってるんです?
もちろん、ビーコンさんにもバリバリ手伝って頂きますわよ!?」
ビーコン「え〜? なんでオイラがそんなかったりぃコトしなきゃいけないんスか?
なぜに、どーして、どんな理由があって……」
ず い っ
落合さん「このグーで殴られたら痛そうだな〜、とか思いません?」
ビーコン「……い、いやぁ、全くもって正当な理由っスねぇ(滝汗)」
落合さん「おほほ、たいへん結構なお返事です♪」
てなわけで、問答無用で落合さんの山菜採り要員にされたビーコン。
深〜い山中を、あてどもなく歩き回る。

ビーコン「おーい、山菜ちゃん……アイヌネギちゃん、どこっスか〜。
サクサクっと摘まれて、一刻も早くオイラをこの責め苦から解き放って……
……お、おろろっ?」
ふと、ビーコンの目の前に現れたのは……
何か巨大な力によって、なぎ払われたかのような倒木。

ビーコン「こ、この展開……な〜んかこう、モーレツにヤバヤバな気がするっス〜。
たとえばこう、振り返ったら背後に何かいたりして、とか……」
よせばいいのにそう言って、振り返ったのが運の尽き!
ビーコン「ど、ど、どひ〜っ!!」
さて一方、こちらは落合さん。
落合さん「は〜、素晴らしい大収穫でしたわぁ……
これでこそ、一汗かいた甲斐があるってものですわね。
うふふ、お殿様の喜ぶお顔が目に浮かぶようです……♪(うっとり)」
ビーコン「お〜い、落合さん、落合さぁ〜ん!」
落合さん「まぁ……どうしましたの、そんなに血相変えて?」
ビーコン「た、たたたた、大変なんスよ〜!
なんか知らんけど、なんか出たんス……この山はヤバいっスよ、今すぐ帰るっス!」
落合さん「ははーあ……そんなコト仰って、山菜採りをサボるおつもりですのね?
だ〜れが、そんな手に引っかかるものですかっ!」
ビーコン「だーっ、全くもう、このオネーチャンはっ!
このオイラの言うことが、そんなに信じられないっスか!?」
落合さん「んまーっ、よくもいけしゃあしゃあとっ!
ご自身の今までの振る舞いがどうだったか、しっかと胸に手を当てて
よーっく思い返してごらんあそばせ!」
ビーコン「ヒヒヒ、それじゃお言葉に甘えて〜!」
む に ゅ ん っ

ビーコン「は〜、この柔らかさと弾力との、絶妙なるマッチング……
何度味わっても、まさにカクベツっスよねぇ〜……ヒヒヒ♪」
落合さん「う……う、うがぁぁぁぁぁっ!!」
げ し っ ! げ し っ !
「ぐおぉぉ〜、うるさいぞ、おまいらぁ〜!!」

木々の間から、のっそりと重量級の巨体を起こしたのは……
その全身が岩で形づくられた、“岩獣”ゴルゴスだ!
落合さん「……あれあれまぁまぁ、どうしましょう!?」
ビーコン「ね、だから言ったっしょ、嘘じゃなかったっしょ!?」
落合さん「そ、そんな事を言ってる場合ですかっ!(汗)」
ゴルゴス「いいか〜、そこのちびっこい奴ら、よーく聞け!
この山は、今日からこの俺の縄張りってことになったから……
無断で立ち入る奴ぁ、容赦なく実力で排除してやるからな〜!」
落合さん「……って、何を勝手なコト仰ってますの!?」
ビーコン「そうっスよぉ! これだけだだっ広い原生林なんスから、
そんなにケチケチしなくても……」
ゴルゴス「うるさ〜い、ぐだぐだ抜かすな〜!」
宙マン「あ、いたいた。……おーい、落合さ〜ん!」

場の空気を全く読まず、呑気にやって来たのは宙マンとピグモン。
落合さん「あらまぁ、お殿様!」
宙マン「はっはっはっはっ、いや〜……明日の資源回収に出そうと思って
古新聞の整理をしてたんだが、梱包用のビニール紐が見当たらなくてね〜。
落合さん、アレはどこにしまってあったかな?」
落合さん「あぁ、ビニール紐でしたら、お風呂場裏の物置に予備がございますわ」
宙マン「なるほど、そうだったか……いや、ありがとう、助かったよ!
我が家に落合さんがいてくれて、本当に助かるねぇ」
ピグモン「はうはう〜、落合さんは何でも知ってるの〜♪」
ビーコン「
だーっ!!
全くもう、アニキ! この状況下で、ンなこと言ってる場合っスか!」

ビーコン「どうっス、納得したっスか?……したっスね!?
納得できたところで、ハイッ、いつものやつをお願いしますっス!」
宙マン「ようし、納得した――宙マン・ファイト・ゴー!!」

光に包まれ、巨大化する宙マン。
北海道の原生林を舞台に、巨大な力と力が激突する!

鉄面皮ならぬ「岩面皮」が売りの怪獣ゴルゴス。
宙マンの繰り出すパンチの連打にも、全くといっていいほど動じない。
ゴルゴス「ぐぉぉぉ〜、何じゃいそりゃ〜、痛くも痒くもないぞ〜!」
ここで反撃に転じたゴルゴスの頭突き、続けて岩石チョップ!
岩石系モンスターならではの怪力に、宙マンもたじたじだ。

ビーコン「ああっ、このままじゃアニキが!」
グルゴス「ぐぉぉぉ〜、踏み潰してやるぜぇ〜!」

ゴルゴスが足を振り下ろそうとしたその瞬間――
パワー全開で、バッと素早く身をかわす宙マン。
ゴルゴス「お、おろろろろっ!?」
勢いあまってスッテンコロリン、派手にすっ転ぶゴルゴス。

そして、その瞬間に露になったのは、ゴルゴスにとって唯一最大の急所……
今までひた隠しにしてきた、背中の赤い発光体!
宙マン「よし、今だ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
ゴルゴス「ぐぉぉぉ。あ、相棒、あとは任せたぞぉ〜!」
背面の泣き所めがけて、宙マンの必殺光線が見事にヒット。
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いや〜、アニキ、今回もどうもお疲れさまっス!」
宙マン「はっはっはっはっ、みんなが無事で本当によかったよ」
落合さん「これでまた、安心して山菜採りができるというものですわねぇ」
ピグモン「はうはう〜、ピグちゃんも山菜大好きなの〜♪」
「そうはいかないぞ、宙マン!」

おお、何と言うことだろう!?
声はすれども、姿は見えず……原生林いっぱいに、不気味に響く謎の声。
「いいか、これは警告だ!
宙マン、そして全ての北海道民よ、これ以上この原生林には近づくな!
この警告を無視して、余計な深入りを続けようとするのなら……
我ら怪獣軍団は、全力をもってこれを排除する!
繰り返す! いいか、この原生林には近づくな!」
宙マン「むう……こ、これは一体……!?」」
怪獣去って、また一難。
大自然の中で、今、何が起こっているのか!?

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