「宙マン、そして全ての北海道民よ、これ以上この原生林には近づくな!
この警告を無視して、余計な深入りを続けようとするのなら……
我ら怪獣軍団は、全力をもってこれを排除する!」

山菜採りの邪魔をする、岩石怪獣ゴルゴスを倒したのも束の間……
どこからともなく聞こえてくる謎の声が、宙マンファミリーに警告を発する。
今、北海道の原生林に「何か」が起こっている!
宙マン「う〜ん、これは一体どういう事なんだろう?」
落合さん「どうせ例によって、性悪な怪獣たちの考える事ですもの……
山の中に誰も立ち入らせないようにした挙句、季節の美味しい山菜を
ぜ〜んぶ自分たちだけで独占するつもりに決まってますわ!」
ピグモン「う〜、そんなの嫌〜んなの〜」
宙マン「確かに、それが事実なら放ってはおけないな」

ビーコン「そうっスね〜、てなわけで、ここは全てアニキにお任せするっス!
んじゃ、オイラは一足先に失礼してエロゲでも……」
げ し っ !
落合さん「な〜にを仰ってるんです、このエロ怪獣っ!
もちろん、ビーコンさんも一緒に行くんですのよ?」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ〜っ……
いや、落合さん、オイラなんか一緒に行っても役に立たないっスよ〜」
落合さん「ご安心あそばせ、弾除けの盾としてなら十分使えますっ!」
ビーコン「……どひ〜っ、このオネーチャン、マジで鬼っス〜」
宙マン「ようし、それじゃあ出発だ!
みんな、途中ではぐれないように、しっかり私についてくるんだよ」

かくして、原生林の奥深くへとずんずん踏み入っていった宙マンファミリー。
と、そこへ!?
ズガーン! グワワーンっ!
宙マン「うおっ!」
落合さん「きゃ、きゃあああっ!」
ビーコン「どひ〜っ、だからオイラ嫌だったんスよぉ〜!」
「俺の警告を無視して、厚かましく山の中に入ってくるとはな……
よほど命がいらないらしいな、宙マン!」

北海道の蕗の葉の下には、「
コロポックル」という小人が住むと言う。
そして今、宙マンたちの前に姿を現したのは……
怪獣軍団の一員、原始地底人キング・ボックルだ!
キング・ボックル「相方のゴルゴスをよくも可愛がってくれたな、宙マン……
こうなればお前たちは、二度と生かしてこの山からは出さんぞ!」
宙マン「キング・ボックル、お前の悪企みもこれでおしまいだ!
北海道の山菜を独り占めして、自分たちだけが美食三昧を堪能しようという
そんなサモシイ根性は……」
キング・ボックル「はぁ?……お前、さっきから何をトンチンカンな事言ってるんだ?」
キング・ボックル「いいか! 俺とゴルゴスの目的は、そ〜んなチャチなモンじゃない。
これだけの土地面積を、そのまま遊ばせておくなんてのは
どう考えたって勿体無いからな――
この山を潰して、その後に一大レジャーランドを建設する。
で、その儲けを基にして、俺たち怪獣軍団の組織は更に強大なものになる……
どうだ、素晴らしい計画だろう!」
おお、何ということだろう!?
遂に明らかにされた、悪魔の大謀略!
ピグモン「はうはう〜、レジャーランド楽しそうなの〜♪」
落合さん「……よ、喜んでる場合じゃないんですよ、ピグモンちゃん?(汗)」
ビーコン「つーか、そんな計画、北海道庁が黙ってるわけないっス!」
宙マン「そうとも……それに、四季折々の美味しい山菜はどうなる?」
キング・ボックル「あははははー! 山菜? 実に貧しい日本的発想だな!
この宇宙にはな、もっと贅沢で美味いものが山ほどあるんだ――
ブラコ星の宇宙胞子、アントラメデオス星のマイシュー、アステロイド星の宇宙果実。
それらに比べれば地球の山菜など、取るにも足りん貧しい味だ!」
ビーコン「っかー、なんか「
美味しんぼ」の俗物みたいな事言ってるっスよ!」
キング・ボックル「えぇい、もういい、これ以上の問答は無用だぁ!
ボックル・ボックル、キ〜ング・ボックル〜!」

気合一閃、みるみるその身を天を衝く巨人へと変えるキング・ボックル。
ピグモン「きゃああん、おっきくなっちゃったの〜!」
宙マン「やはり、話し合いの通じる相手ではないってことか……!」
キング・ボックル「宙マン、連れの奴らともども踏み潰してやる!」
宙マン「なんの、そうはいくか! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

颯爽! 閃光とともに巨大化する我らのヒーロー。
さあ行け宙マン、キング・ボックルをやっつけろ!
宙マン「北海道の原生林は、そこに暮らす全ての者の共有財産だ――
断じて、お前たちの好き勝手にはさせないぞ!」

宙マン・アクション!
巨大な二つの巨体が、音を立てて激突する。
キング・ボックル「おのれ〜、これでもくらえ!」
宙マン「なんの! 宙マン・プロテクション!」
キング・ボックルの破壊スパークを、宙マンの防御技が無力化。
すかさず宙マン、キング・ボックルの腹部めがけて肘打ちをお見舞い!
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
キング・ボックル「ぐはぁぁぁっ……スマン相棒、俺も駄目だったよ〜!」
必殺光線の威力の前には、原始地底人とてひとたまりもない。
やったぞ宙マン、大勝利!
イフ「ぬうぅぅぅっ……おのれ、またしても、またしても宙マンめが!
だが覚えておれよ、この次こそは必ずや……!」
かくして宙マンの活躍により、またも怪獣軍団の陰謀は打ち砕かれ……
北海道の原生林は、再びその平穏なる静けさを取り戻したのであった。

ビーコン「いやぁ、よかったよかった、めでたしめでたしっスね!
てなワケで、そろそろこの辺で山歩きもお開きに……」
落合さん「な〜にを仰います、ここからが本番じゃございませんの!
ささ、気合を入れて山菜採り続行ですわ!」
ビーコン「えぇ〜? オイラ、冗談抜きでもうヘットヘトっスよぉ〜」
落合さん「大丈夫です! この私が腕によりをかけて作った山菜料理を食べれば、
そんな疲れなんていっぺんで吹っ飛んでしまいますから♪」

ビーコン「な〜るほど、山菜料理は精がつく……
それは要するに、今夜のベッドルームへのお誘い、って解釈でいいんスよね!?
オッケー・オーライ、タップリ可愛がってあげちゃうっス〜♪」
落合さん「……ちょ、どうして毎回毎回、ソッチ方面にばかり絡めるんですの〜!?」
げ し っ !
ビーコン「ハンニャラ、ヒ〜っ……」
宙マン「はっはっはっはっ」
長い冬に耐え、萌えいずる生命の息吹。
春の山菜、皆さんの食卓にもいかがです?

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