スーパー戦隊シリーズ第六弾にあたる、1982年放映の
「大戦隊ゴーグルファイブ」は、新体操をモチーフとしたゴーグルVの
流麗なグループアクションや、ゴーグルシーザー発進シーンなどに代表される
大胆、かつ緻密な特撮演出などなど、実に絢爛豪華なビジュアル要素が満載された
理屈抜きで楽しめる一級の娯楽作品として完成を見るに至りました。
そんな数々の「目に楽しい」趣向の中にあって、ひときわ私の目をひいたもの――
それが、今回ご紹介する「ファンコング」でありました。

デザイン担当の久保宗男氏が「モビルスーツを意識した」と語っておられるように、
それまでのマンガチックなディフォルメが際立っていた東映ロボット・モンスターとは一線を画す
実に重厚なフォルム、また機体の各所にちりばめられた
排気ファンや動力パイプなどのディティール設定がもたらす「メカメカしさ」。
そして、全身に施された汚し塗装が醸し出す「鋼鉄のかたまり」としての質感、
アニメにはない実写ならではの「実際にそこに現物がある」がゆえの、
まさに問答無用の説得力!
1982年のお子ちゃまがたのご多分にもれず、「ガンプラ」や「リアルロボ」の洗礼を
どっぷりその身で受けまくっていた小学四年生のさいとうひとし君(当時)は
もうすっかりヤラれてしまったわけですよ、もう。
く〜っ、カッコいい(笑)!
しかも「テレビマガジン」の新番組プレビュー記事を読む限り、
今回の敵組織の「暗黒科学帝国デスダーク」は、毎度毎度の怪人のみならず
その怪人が操縦する巨大ロボットをも同時に繰り出してくる、ってんですから!
つまり、このファンコングのごときカッチョいいロボットをも
毎回毎回堪能できてしまう、ということですよ――
(事実、同じ記事で紹介されていたもう一体の巨大ロボ「ヒカリコング」もまた
ファンコングに負けず劣らずカッコよかった!)
そりゃもう、怪獣が大好きでガンダムが大好きでプラモデルも大好きなさいとうひとし君に
これで興奮するな、という方が無理なお話です(笑)。
さて、そんなこんなで迎えた第一話の放送当日――
やたら長い名乗りシーンやアクションシーンなど、見せ場満載の贅沢な内容ゆえに
ファンコングの出番自体は、実はかなり少なめだったりしたものの……
さすがに第一話だけあって、予算が贅沢に投入されていたこともあって
ファンコングの活躍もゴーグルロボとの立ち回りも、
実に見ごたえのある特撮で描かれていて、大いに溜飲を下げると同時に
必然的に次回以降への期待もムクムク膨らみまくってしまったわけですよ。
「さて、次回のロボットは何だろうな?」と。
……ところが、ところが、ぎっちょんちょん。
既に皆様もご存知の通り、ゴーグルVの巨大ロボットは第五話以降
「等身大の怪人と同じ姿の巨大ロボット」という風に路線変更されてしまい、
さいとう少年は失意の涙を流さずにはいられなかったわけですよ……もう(はらはらと落涙)。
後の「特捜戦隊デカレンジャー」におきまして、毎回の怪人に相当する「アリエナイザー」たちの操縦する
「怪重機」という巨大ロボットの設定を上手に劇中で活かし、
なおかつ最後までその路線を貫き通してくれたのを見たとき……
20数年前の、この「○○コングの失望」が思い出されて、
改めてさまざまな感慨が脳裏をよぎってしまった……ということは
皆様と私だけの秘密にしておいて下さい(笑)。
そんな少年時代の、なんともいえず甘酸っぱいメモリー(笑)も含めまして……
ワタクシことさいとうひとしは、今でも「好きな実写特撮ロボットは?」と聞かれれば
必ずこのファンコングの名前を真っ先に挙げます。
(ちなみに、もう一体は「ファイヤーマン」のバランダーV)
ファンコング・フォーエバー!!
……あ〜、どこかのメーカーさんでソフビ人形化してくれないものかしらん(笑)?

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