河口湖を騒がせていたエレキングを、見事倒した宙マン。
だが、その戦いを人知れず見守っていた者……
それは、あの謎のメイドさん・腐鮪鯖美(くさりまぐろ・さばみ)だった!
鯖美「うふふふ、ご苦労様でした〜、エレキングさん……
エレキングさんが人目をこの河口湖にひきつけておいてくれたお陰で、
鯖美の作戦はバッチリ準備完了なので〜す☆ ば る る ぅ 〜 ♪」
おお、見よ!
鯖美の双眸が、不気味でまばゆい怪光を放ったかと思うと――

――瞬時のうちに、バルタン星人(二代目)に変身したぞ!
エレキング「よ〜、やってるね〜、二代目の旦那ぁ〜」

噂をすれば、なんとやら。
のそりと現れたのは、先ほど宙マンに叩きのめされたばかりのエレキング。
エレキング「約束通り、旦那の作戦から世間の目をそらさせるために
この河口湖で派手に暴れてやったんだぜぇ。
旦那の作戦が成功したら、その時ゃたんまり礼金、はずんでもらわないと♪」
二代目バルタン「ん〜、なんのことかな〜?」
エレキング「な、何っ!?」
二代目バルタン「エレキング君、お前さんにひとつイイこと教えてやるよ……
約束ってのは、
そう簡単に守れないところにこそ味があるンだよ♪」
エレキング「だ〜っ! 最低だ、このオッサン! 開き直ってやがんの!
くそ〜、こうなったら魔王様に言いつけて……」
二代目バルタン「ね〜い、うるさいっ!!」
エレキングの約束を反故にして、鋏の一撃でこれを叩き伏せる二代目バルタン。
まったくもって、宇宙屈指の最低男ぶり全開である。
そして更に、その様子を見守っていた影がふたつ……
初代バルタン星人と、バルタン星人Jrの親子である。
バルタン星人Jr「ねぇパパ、二代目おじさんってばホントに大丈夫なの?
昨日だって作戦そっちのけで、富士河口湖町内のおもちゃ屋巡りとかして
レアアイテムの買占めに血眼になってたみたいだし……」
バルタン星人「全くなぁ、あいつも誇り高きバルタン一族の自覚を持って
もう少しまじめに悪事に精を出してくれれば俺も安心なんだが……
……ってコラ! 生意気言うんじゃない、せがれ!
大人のやることに、いちいち口出しするもんじゃないッ」

いかに怪獣魔王夫妻からの信望篤く、将来を嘱望されたエリートとはいえ……
親にしてみれば、いくつになっても子どもは子ども。
だが、露骨に軽んじられてJrが面白かろうはずもない。
バルタン星人Jr.。oO(フン、だったらパパも叔父さんも
好きなようにやってみればいいさ……
きっとさぞかし、上手くいくことでしょうよ!)
悪者側は悪者側で、いろいろと思惑が交錯しているのである。
が、ひとまずそれはさて置いて――。

河口湖を後にした宙マンファミリーは、松戸へ帰るその道すがら、
相模湖インターにてしばしの休憩をとっていたのだった。
落合さん「さぁさぁ皆様、トイレに行きたい方は
今のうちに済ませておいて下さいましね。
と言いますか、私もちょっと失礼させて頂きまして……」
そういい残して、そそくさとお手洗いに駆け込む落合さん。
女性にとっての「お手洗い問題」は、ある意味、男性以上の重要事であろう。

ビーコン「あれ、ピグモンはトイレ行かなくてもいいっスか?」
ピグモン「うんっ、ピグちゃんは河口湖で済ませてきたから平気なの〜。
それよかピグちゃん、ソフトクリームが食べたいの〜」
ビーコン「だったら落合さんに頼むっスよ、ピグモン。
オイラの財布には、な〜んの期待もしないで欲しいっス〜……
……っていうか、現在チィチィパッパのラリパッパなんスよぉ(涙)」
実はビーコン、また例によって後先考えずにエロゲを購入したばかりだったのだ。
……と、その時!
ピグモン「あ〜っ! ビーコンちゃん、あれ、あれ〜!」

おお、再び姿を現したエレキング!
エレキング「お〜い、宙マン、宙マンはどこだ〜!?」
宙マン「私ならここだ!」

お手洗いを済ませ、すかさずエレキングの前に躍り出てきた宙マン。
宙マン「しつこい奴め! さっきの仕返しにでも来たのか?」
エレキング「ち……違う違う! いつもならともかく、今回は違う!
今回はな、別に戦いに来たわけじゃないんだよ、宙マン。
お前にひとつ、耳寄りな情報を教えてやろうと思ってな〜」
エレキング曰く――
彼が派手に暴れ回って、世間の注意を河口湖にひきつけているその間に
バルタン星人(二代目)を中心とした別のグループが、新たなる作戦を
この近辺で行おうとしているのだ、という。
落合さん「なるほど、河口湖のアレは囮だった……と」
ビーコン「でも、どうしてその事をオイラたちに教えてくれるんスか?」
エレキング「そりゃ決まってる! あのバルタン野郎が、
俺のことを利用するだけ利用して、平気で約束破りやがったからだ!
こうなりゃ、アイツばかりにいい思いなんてさせるわけにいかねぇからな。
いいか宙マン、バルタンどもの今度の計画は……」
……だが、エレキングがそこまで言いかけた時!
エレキング「……ぐはぁっ!!」
二代目バルタン「フォッフォッフォッ、口の軽い男は女にモテないよぉ〜☆」

エレキングの「口封じ」を済ませ、ふっと消える二代目バルタン。
にわかに騒然となる相模湖インター。
宙マン「エレキング……しっかりしろ、大丈夫か!?」
エレキング「ふ、富士急……ハイ、ランド……。」
ピグモン「はうっ、富士急……」
ビーコン「……ハイランドっスか!?」
宙マン「ようし、分かった、富士急ハイランドだな!
嗚呼、よく教えてくれた、エレキング……
君の死は、決して無駄にはしないぞ!」
エレキング「あ、あの〜、まだ死んでないんですけど……ガクリッ(気絶)」
かくて、次なる舞台は富士急ハイランドへ。
見事、バルタンの計画を阻止出来るか?

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