神戸での一件を経て、壮絶な喧嘩別れの果ての断絶から
ようやく元の鞘へと収まった、怪獣魔王・イフとサンドロスの元・夫婦。
神戸における宙マンとの戦いの傷を癒し、再び夫婦のよりを戻すべく、
この熟年カップルはアキツシマ星系の温泉地めぐりへと旅立っていった。

と、言うわけで……
暗黒星雲の怪獣軍団本拠地は、現在のところ主が不在の状態なのである。
ゾネンゲ博士「……しかし、だからと言って気を抜くことは許されん」
ゾネンゲ博士「いいか、魔王様と奥方様がおいでにならない今だからこそ
我ら怪獣軍団、皆で心をひとつにして、地球征服の野望と
にっくき宙マン打倒のために邁進し……」
……だが、そんなお題目など、当然誰も聞いちゃいない。
「イヤッホーイ! 遊ぶぞ遊ぶぞ〜!」
「カラオケ行こうぜ、カラオケ!」
「いや、その前に軽く居酒屋で一杯飲ってから……」

いつぞやの、怪獣魔王が鬱状態になった時がそうだったように……
今回もまたまた、ここぞとばかりに遊ぶ気マンマンの怪獣たち。
ゾネンゲ博士「お、お前たちは……お前たちは……(ワナワナワナ)」
……ぷ ち っ !
ゾネンゲ博士「え〜い、こうなったら私だって遊んでやる!!」
ゾネンゲ博士「というわけで、今から湘南へ行ってナーオンでもパーナンしてくるゼィ!
今日から俺は、ゾネンゲ改め“海つばめのジョニー”さ!
ひゅーひゅー、おねーちゃん、色っぽいね〜♪」
( ゚д゚)ポカーン……。
サーフボードを抱えて意気揚々と飛び出していった博士の姿を、
ただ呆然と見送ることしかできない怪獣たち。
「ゾネンゲ博士、いろいろタマってたんでヤンスかねぇ」
「……いろいろと辛いよなぁ、中間管理職は(しみじみ)」
と、怪獣軍団が能天気に騒がしいその一方……
地球では、ちょうど宙マンファミリーが神戸旅行から松戸に帰ってきたところ。
宙マン「やぁ、たっだいま〜!」

スミコ「お帰りなさいませ、宙マン様方♪」
宙マン「お留守番どうもありがとう、スミコさん。
はいっ、これ、お土産――
涼宮さん家のはるかちゃんが持たせてくれた、名物の神戸プリンだよ♪」
スミコ「まぁ……いつもいつも、お心遣い痛み入ります(微笑)」
落合さん「本当に、スミコさんがヘルプに入ってくださいますと……
私も安心して、家事の一切をお任せすることが出来ます♪」
スミコ「ふふふ、家のことは何も心配しないで下さいね、落合さん。
ちょうど今さっき、
お掃除も済ませたところですし♪」
「ハンニャラ、ヒ〜っ……」
落合さん「まぁっ、さすがはスミコさん♪」
ピグモン「はうはう〜、スミコさんかっこいいの〜」
ビーコン「……い、いやぁ、ホントにさすがっスね……いろんな意味で(汗)」
……などと四方山話に花を咲かせていたところ。
「こらこらこらこらーっ、宙マン!!」
ピグモン「あ、宙スレさん、いらっしゃいなの〜」
宙マン「いやぁ、はっはっはっはっ、ちょうどよかった!
神戸土産の神戸プリン、君も一緒にどうだい?」
宙スレイヤー「えーい、プリンなんか食べてる場合かっ!」
宙スレイヤー「いいか、俺はお前にとって、最大最強の宿命のライバル……
つまり、お前を倒すのはこの俺だ、ということだ!」
ビーコン「あ〜、そういえばあったっスねぇ、そんな設定も」
宙スレイヤー「なのにお前ときたら、やれ神戸だ、やれ秋葉原だと
この俺そっちのけで遊び歩いてばかりで……
ううっ、お前がそんなことでは、この俺はこれからいったい
何を生甲斐にして生きていけばいいのか……ううっ……(涙)」
宙マン「あ〜、いや、こりゃ済まない……悪かったよ、宙スレイヤー。
……わかった、その分も含めて埋め合わせしようじゃないか」
宙スレイヤー「おおっ、よく言った! それでこそ俺のライバルだ!
だったらさぁやろう、今やろう、すぐやろう〜!」

喜び勇んで、瞬時に巨大化する宙スレイヤー!
そして、迎え撃つ宙マンもまた……。
宙マン「宙マン・ファイト・ゴー!!」

颯爽と巨大化する宙マン。
さぁ、久々に宙スレイヤーとの一騎打ちだ!

大地をゆるがし、巨体をうならせ、激しくぶつかり合う両者。
で、その足元では……。
ペドレオン「やぁやぁ、皆さんこんにちは〜♪」
優美「うふふ、どうもお久しぶりですぅ〜」
キングジョオ「ん〜、なんか神戸まで行ってきてたんだって?」
ピグモン「わ〜、お客さんいっぱいなの〜♪」
ビーコン「ヒヒヒ、なんかみんなしてナイスタイミングっスねぇ♪」
落合さん「それでは、揃ってお茶会にでも致しましょうか――
お茶受けの神戸プリンにも事欠かないことですし、ね」
ピグモン「はう〜、プリン、プリン、早く食べたいの〜」
落合さん「いけませんよピグモンちゃん、ちゃんと手を洗ってからでないと。
あ、お二人の分のプリンは、ちゃんと冷蔵庫で冷やしておきますから……
お殿様も宙スレイヤー様も、どうぞご存分に戦って下さいましね〜♪」
かくて、激しく戦う宙マンと宙スレイヤーを残して……
一足先に、心和むお茶会を堪能する落合さんたちであったとさ。
夕焼け小焼けで、日が暮れて……
そしてまた、彼らの「日常」が始まる。

0