三日前に、松戸全域に降り注いだ「赤い雨」を境に……
女性ばかりが次々と、皮膚が緑色に変色して意識不明になる、という
原因不明の奇病事件が相次いでいた。

宙マンたちの親しい友人・長崎優美嬢もまた、その奇病に倒れて
駆けつけた救急車によって病院まで搬送されていったのだが……
なんとその救急車が、真っ赤な偽物だったと判ってさぁ大変。

そして、優美を連れ去った犯人は……
怪獣軍団からの新たな使者、ブラコ星人であった!
ブラコ星人「お喜び下さい、魔王様!」

ブラコ星人「このワタシめの“赤い雨”作戦により……
我がブラコ星特産の宇宙胞子は、地球人の雌たちを触媒として
しごく順調に増殖しておりますです、ブフェフェフェ」
イフ「おお、でかしたぞ、ブラコ星人!」

彼らブラコ星人の食料である「宇宙胞子」は、地球人女性の染色体を主体とした
ホルモンを栄養として急激に増殖する。
赤い雨によってそれらの胞子を地上に散布し、雨を浴びた女性たちを
胞子を育てるための「人間牧場」として利用しようとする……
それこそ、ブラコ星人の作戦なのである。
ブラコ星人「既に、培養胞子第一弾の搬送準備も整ってございます。
我がブラコ星の宇宙胞子は、刺身でよし、鍋でよし……
もう間もなく、魔王様にも心行くまでご賞味頂けましょう!」
イフ「おお、おお、楽しみじゃ……ヨダレが出るわい!」
「待て、そうはさせないぞ!」
ブラコ星人「むむっ、その声は!?」
宙マン「とうっ! 宙マン、参上!」
ビーコン「そしてご存知、
ビーコンちゃんと愉快な仲間たちっス〜!」
落合さん「って、勝手に仲間にするなと何度言えば……!」
ビーコン「ヒヒヒ、固いのは乳首だけにしとくっスよ、落合さ〜ん♪」
げ し っ !

現場に残された、優美のかすかな残り香を頼りに……
ピグモンが自慢の嗅覚によって、ニセ救急車の足取りをまさに
「嗅ぎあてた」のであった。
ピグモン「はうはう〜、またまたピグちゃんのお手柄なのよ〜。
えっへん、すごいでしょ!」
ブラコ星人「く、くそっ!」
慌てて逃げようとする星人だったが――
お巡りさん「お前の周囲は、我々千葉県警が完全に包囲した!
お上の御用だ、神妙にお縄につきやがれぇい!」
通報を受けて駆けつけてきた千葉県警が、既にしっかり周囲を固めていた。
久しぶりの出番とあって、G3システムのお巡りさんも妙にノリノリである。
落合さん「ふふふ、ここらが年貢の納め時ですわね!」
ビーコン「素直に観念した方が、オリコウサンだと思うっスよ?」
ブラコ星人「なんの、これしきのことでむざむざやられるワタシじゃないワイ!
むんっ! ぬ、ぬぬ、ぬおおおお〜!!」

腹の底から搾り出した、ドスの効いた雄叫びとともに……
宙マンたちの見守る前で、みるみる巨大化するブラコ星人!
ブラコ星人「ブフェフェフェ、まとめて料理してやるワイ!」

地響きをあげ、巨大ブラコ星人が迫り来る。
ピグモン「はっ、はわぁぁん、ピグちゃん怖いの〜」
宙マン「なんの! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

颯爽!
閃光とともに巨大化し、ブラコ星人の前に立ちはだかる宙マン!
宙マン「お前の卑劣な企みは、この宙マンが粉砕するぞ!」
ブラコ星人「ぬかせ、宙マン!」

触覚からの怪光線を、プロテクションで無力化。
すかさずブラコ星人めがけて、宙マンの華麗なアクション技が炸裂だ!
ブラコ星人「ぬ、ぬうう……さすがは宙マン、なかなかやりおるワイ。
だが、ワタシだってこれで終わりはしないワイ! 見ろ!」

ブラコ星人が、奇妙な両腕の動きを見せるとともに……
その姿が、何やら陽炎のように妖しくゆらめきはじめた。
ブラコ星人「ブフェフェフェ……これぞ、ワタシの奥の手!
宇宙通信教育で習い覚えた臨獣拳によって、お前を地獄へ送ってやる!
くらえぃ、臨獣スネーク拳・リンギ……」

特殊な呼吸法とともに体内の「臨気」を練り上げ、敵に叩きつけるという
まさに奥の手、究極奥義!
だが……
わざわざその準備が整うのを待ってやるほど、宙マンもお人好しではない。
宙マン「くらえ! 宙マン・ビームフラッシュ!」
ブラコ星人「りょ、料理されたワイ……!!」
自慢の拳法を繰り出す暇もなく、必殺光線に一掃されるブラコ星人。
やったぞ宙マン、大勝利!
そして……。
優美「う、う〜ん……。
あっ、ペドくん……それとも、あなたは私の王子様……?」
ペドレオン「うわーん! 優美ちゃん、よかったよー!(感涙)」
この後、感激したペドレオンが全身の触手をうねらせながら
優美を包みこむように抱きしめて、それはもう放送禁止半歩手前、という
悶絶モノの光景が繰り広げられたりもしたのだが以下略。
もちろん優美以外の被害者たちも、ブラコ星人が倒されるとともに
「宇宙胞子」の呪縛から解き放たれ、無事に回復したのは言うまでもないだろう。
ピグモン「はうはう、宙マン、今日もお疲れ様なの〜」
ピグモン「でもねぇ……ピグちゃん、ひとつ判んないことがあるの〜。
三日前の赤い雨なら、ピグちゃんも浴びちゃったのに……
どうして、ピグちゃんはなんともなかったのかしら?」
宙マン「はっはっはっはっ、それはね……
あの赤い雨の中の宇宙胞子は、怪獣でも宇宙人でもない
地球人の女性の体でだけ、増えていく性質のものだからなんだよ」
ピグモン「ふ〜ん、そうだったんだ〜」

ビーコン「ありゃりゃ? そうすっと、またひとつギモンっスね〜。
ピグモンはともかく……一緒に雨を浴びたはずの落合さんが、
どうして優美ちゃんみたいに意識不明にならなかったんスかぁ?」
落合さん「あ……。そう言われてみれば、確かに……そうですわねぇ」
宙マン「落合さんも知らない遠いご先祖の中に、宇宙人の血筋がいたんじゃないかな?
デンジ星人だったり、あるいはビアル星人だったり……」
ビーコン「い〜や、いやいや、もっと端的な答えがあるっスよ、アニキ。
……ヒヒヒ、つまり落合さんは
オイラたち怪獣と同レベルってコトっス〜♪」
げ し っ !
落合さん「んーまっ! 花も恥らう乙女に向かって……
なんたる無礼、なんたる暴言ですかっ!(プンプン)」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ〜っ……
……そ、その腕っ節は怪獣顔負けっスよぉ〜」
宙マン「はっはっはっはっ」
何はともあれ、一件落着。
次回もまた松戸を頼んだぞ、宙マン!

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