去る18日まで、札幌市資料館にて開催されていた小口敏弘氏の初個展……
「
MonsterWorld 小さき怪獣たちの世界」」。

小口氏が樹脂粘土や木粉粘土を用いて造形した、50体もの総数を数えるに至る
自作怪獣フィギュア群の中より、お馴染みウルトラシリーズの怪獣・宇宙人が七体、
完全な小口氏オリジナル怪獣たちが七体、計14体の凄い奴らが選りすぐられての
展示発表となったこの個展――

前回のウルトラ怪獣たちに続き、今夜はいよいよお待ちかね……
テレビにも映画にも登場しない、小口氏のイマジネーションがよりピュアな形で
縦横無尽に解き放たれたオリジナル怪獣たちの世界をご紹介です。
●黒鎧怪獣 ブラットラー

名前の由来は、英語のBlack(黒)+Antler(角)から。
黒と青のツートンで彩られたダークなカラーリングと、別名の通り鎧を纏ったような
戦闘的シルエットが、内に秘めた並々ならぬ闘志を感じさせてくれます。
●鉄兵巨人 レギオラス

名前はLegion(軍隊、軍人)からのもじり。
その名の通りの無機的なデザインに、マッシヴなプロポーションが良くマッチして
『新造人間キャシャーン』における敵・アンドロ軍団の尖兵たる“ツメロボ”のごとく
整然と隊列を組んで進撃、蹂躙を続ける威容が自然と脳内に思い浮かんできます。
●深海怪獣 アルカビス

名前の由来はイタリア語のArca(箱舟)+英語のAbyss(深海)。
大型回遊魚にそのままぶっとい四肢を生やしたような「歩く潜水艦」然としている
重量級のスタイルが魅力のこの怪獣、波しぶきなどのマテリアルと絡めて撮ったら
さぞかし男前が増すことでしょうね〜(うっとり)。
●突進怪獣 ボアルド

名前はイノシシの英語名(Wild boar)のアナグラム。
戦闘的なスタイリングながらも決してデコレーション過多にならない絶妙な匙加減、
小口造形ならではのしなやかな躍動感、表情付けの絶妙な精悍さと三拍子が揃って
個人的には最もお気に入りのオリジナル怪獣です。
●紅翼鳥 コウジャク

名前の由来は紅+雀。
赤系統の色彩が上品にあしらわれた美しい怪獣である一方で、そこはかとない
ユーモラスな雰囲気も漂ってくるのが面白いキャラクターです。
●人工生命体 エクスラスト

名前の由来がアルファベットのX(エックス)+英語のLast(最後)。
人為的に作り出されたバイオモンスターということで、そのデザインラインにおいても
どこか捉えどころの無い不気味さが漂う一方、よく見るとなかなかイケメン顔なのが
何ともいえぬ独自の個性を醸し出している一体です。
●君主怪獣 キングロア

名前の由来は英語とフランス語で、共に王を意味するKing+Roi。
小口怪獣ワールドにおける、レッドキングかゴジラか……と言う華のある存在感で
恐らくは造形した小口氏にとっても会心の出来だったと思しきキングロア。
展示会場でも堂々のセンターを任され、抜群の存在感を放っていました。

以上、三回に分けてお送りして参りました小口敏弘氏の怪獣個展記事。
はてさて、読者の皆様方はどのように受け止められましたでしょうか?

架空の生き物に確たる命を吹き込む、奔流のようなイマジネーション……
「怪獣」に魅せられた一人として、溢れるオーラの洗礼を直に受けられたことを
特撮怪獣ファンとして、また道内在住者として、心より嬉しく思います。
これはもう、是非とも第二回個展の開催をお願いしたいところです――
そしてその際には、また必ず足を運ばせて頂きます!

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