
地球は狙われている!
今……
幾千もの星から、恐るべき侵略の魔手が伸びようとしているのだ。

そんな恐怖の侵略者勢力のひとつ、暗黒星雲の怪獣軍団。
彼らは今また新たに、地球征服と宙マン抹殺の至上目的のもとに
配下の宇宙人へ命令を与え、地球へ向かわせていた。

そして、ちょうどその頃。
「宙マンハウス」のある、北海道千歳市・ほんわか町5丁目は
一面の銀世界が夕暮れ色のオレンジに染まりつつあった。
みくるん「あ、もう夕方になっちゃいましたね〜」
ながもん「楽しい、時間は……あっと、言う間」
みくるん「どうも済みません、すっかり話しこんじゃって。
それじゃ私たち、そろそろこの辺で失礼しますねぇ〜」
ピグモン「えう〜、そんなのつまんないの〜。
二人とも、もっとゆっくりしていけばいいのに〜」
落合さん「あらあら、いけませんわよ、ピグモンちゃん。
みくるん様たちにだって、ご都合があるんですから」
宙マン「また今度、今日の分までいっぱい遊んでもらうといいよ」
ながもん「(頷き)問題ない……まーかしてっ」
ピグモン「はうはう〜、絶対なの、約束なの〜♪」
みくるん「それじゃ……どうもお邪魔しましたぁ〜」
宙マン「うん、気を付けて帰ってね!」
と、にこやかに宙マンが玄関のドアを開けたその瞬間……
「宙マンハウス」の外から、猛然と吹きこんでくる凄まじい風と雪!

ビーコン「う、うわぶっ! な、何スか、こりゃあっ!?(汗)」
みくるん「さ、さっきまであんなに晴れてたのにぃ!」

この驚くべき異変、荒れ狂う吹雪は……
「宙マンハウス」の周辺のみならず、ほんわか町をはじめ千歳市全域を
包みこむようにしてその猛威を奮っていた。
落合さん「あらあらまぁまぁ、またまた爆弾低気圧でしょうか!?」
ながもん「それにしては……なんか、様子が……おかしい」
ピグモン「はわわわ、ってことは……」
宙マン「まさか、また怪獣軍団の仕業かな!?」
「ヒュフフフ、その通り……!!」
吹き荒れる寒波の中から、ギラリと不気味に輝く双眸。

みるみる実体を現して巨大化し、高層ビルをも上回るサイズの巨人と化したのは
怪獣軍団が新たに送りこんできた悪の使者、絶対零度の凍てつく星で生まれた
“雪男星人”の異名をとるバルダック星人だ!
みくるん「ああっ、なんか出てきたですぅ!」
ピグモン「はわわ、あの宇宙人、前にも見たことあるの〜」
ながもん「(頷き)雪男星人……バルダック」
「ヒュフフフ、いかにもバルダック星人、名はゴルト!
で、俺みたいな冷凍系の星人が地球へやって来たのなら……
後はもう、やる事なんてひとつっきゃねェよなぁ!?」

ビーコン「どひ〜っ、勘弁して欲しいっスねぇ、只でさえ寒いのに!」
落合さん「全くですわ、どうしていつもこうなんでしょう?」
宙マン「……うぬっ!」
グロッケン「さぁ! いっちょ景気よく頼むぜ、ゴルト!
“氷結の”グロッケン様が、特に一目置くお前のアイスパワーで
地球丸ごと、キンキンに冷えまくった冷凍庫にしちまいな!」
ゴルト「ヒュフフフ、まぁ見ててくれ、グロッケンの兄ィ!」

全身から冷気を撒き散らし、進撃開始するバルダック星人ゴルト!
人々が悲鳴をあげて逃げ惑い、夕暮れの街は混乱の巷と化す。

が、雪男星人の暴虐を断じて許さじとばかりに、航空防衛隊・千歳基地の
大空の精鋭たちが、最新鋭戦闘機で直ちにスクランブルをかけた。
ながもん「おおっ。……今日も、また……おでまし」
ビーコン「頼んだっスよ〜、毎度のことながらマジで!」
落合さん「頑張って下さいませ、防衛隊の皆様方!」
「ようし。……全機、攻撃開始っ!」

巨大宇宙人めがけて、嵐のように叩きこまれるロケット弾!
戦闘機編隊の猛攻を受けてもなお、ゴルトの勢いは止まらない。
ゴルト「ヒュフフフ、雑魚は道を空けろィッ!」

バルダック星人ゴルトの口から吐きだされる冷凍ガス!
その凄まじい勢いに、戦闘機隊も迂闊に近づくことができない。

ビーコン「なんてこった、これじゃ手も足もでねーっス!」
ピグモン「はわわ、街が、街がどんどん凍りついてくの〜!(汗)」

急速な街の凍結によって避難中の自動車も只では済まず、次々に横転。
爆発! 炎上!
冷気が巻き起こす惨事を前に、いかにも満足げなバルダック星人ゴルト。

ビーコン「どひ〜っ、このままじゃオイラたち……
みんなまとめてアイスキャンディーにされちまうっスよぉ!(汗)」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの〜」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、バルダック星人ゴルトの前へ立ちはだかる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
暗黒星雲の手先め、平和を乱す者は許しておかないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ながもん「おおっ、宙マン……待って、ました」
ビーコン「アニキの十八番、いつ見ても安心感満点っス!」
ピグモン「はうはう〜、宙マン、がんばってなの〜!」
ゴルト「ヒュフフフ、宙マン、いよいよお前の最期の時が来たな――
このバルダック星人ゴルトが、同胞たちの仇を討ってやる!」
宙マン「なんの、正義の熱さで返り討ちだ!

ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。

真っ向対決、宙マン対バルダック星人ゴルト!
人々が見守る中、超パワーの激突が銀世界を熱く染める。

寒冷な環境で生まれ育ったバルダック星人だけに、真冬の北海道は
体も馴染んで元気百倍、自らの超能力とパワーを遺憾なく発揮出来る
おあつらえ向きの“殺しの舞台”といったところ。

だが、どんな過酷な環境でも、宙マンの闘志が衰えることはない。
パワー全開のストレートキックで、ゴルトを豪快に蹴り飛ばした!
ゴルト「ぐぬうぅっ……やりやがったな!」
宙マン「これ以上痛い目にあいたくなければ、暗黒星雲に帰れ!」
ゴルト「ぐ、ぐぬぬぬぬっ……
ほざくな宙マン、これでもくらえ〜っ!!」

クワッと開いたゴルトの口から、勢いよく吐き出される冷凍ガス!
その威力が千歳市内のビルに浴びせかけられ、次の瞬間……
グワッシャァァーンっ!

見よ! バルダック星人の冷凍ガス、マイナス234度の威力――
ガスを浴びた高層ビルが、一瞬のうちにカチンカチンに凍りついて
木っ端微塵に砕け散ってしまったではないか!?
みくるん「ああっ、ビルが!?」
ながもん「あの、ガスの威力……ハンパじゃ、ない」
ビーコン「どひ〜っ、あんなのをマトモに浴びちまったら……」
落合さん「(ごくりと息を呑み)その時は、たとえお殿様でも……!」
ピグモン「はわわわ、宙マン、まけないでなの〜!」
ゴルト「ヒュフフフ、見たか、バルダック冷凍ガスの威力。
次はお前を木端微塵にしてやるぜ、宙マン!」
宙マン「(ニヤリ)やってみるがいいさ、やれるものならな!」
ゴルト「(カッとなり)――野郎っ!!」

怒りとともに、冷凍ガスを吐きだすバルダック星人ゴルト。
だが、その恐るべき攻撃は……
宙マン・プロテクションで完全に受け止められ、無力化された!
ゴルト「(驚愕)……な、何ぃっ!?」
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バルダック星人ゴルトを直撃!!
ゴルト「ひ、ひぇぇぇ、こりゃタマラン〜っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう〜、やったのやったの、宙マンが勝ったの〜!」
ながもん「相変わらず、お見事。……グッジョヴ」
みくるん「宙マンさん、ありがとうございますぅ!」
グロッケン「グギギギっ……宙マンめぇっ、よくもゴルトを!」
イフ「今に見ておれ、この次こそは思い知らせてくれるわ!」
……などと言う、いつもの怨嗟と負け惜しみはさて置いて。

かくして我らが宙マンの活躍により、バルダック星人ゴルトは倒され
千歳市の危機は救われたのであった。
みくるん「これで、千歳の街も氷漬けにならないで済みましたね!」
ながもん「……とは、言うものの……」
みくるん「(苦笑)それは仕方ないよぉ、だってまだまだ冬だもん♪」
宙マン「はっはっはっ、そんな寒い季節だからこそ……
冷えた体を温めてくれるような晩ごはんに期待したいねぇ」
ビーコン「たはは、今日の寒さはシャレにならなかったっスからね〜!」
落合さん「うふふっ、万事この落合にお任せ下さいませ――
先日のお夕飯で好評だった「アレ」を、またやってみようかと」
宙マン「おおっ! 「アレ」かい!?」
落合さん「えぇ、今夜も大いに堪能致しましょう!」
ピグモン「はうはう〜、ピグちゃんも楽しみなの〜♪」

コチュジャン主体のピリ辛味に、絡みつくのはとろ〜りチーズ。
近頃話題の「チーズタッカルビ」をヒントにした、落合さん流の鍋料理で
身も心もほっこり暖まった宙マンファミリーなのであった。
冬の寒さも、えんやこら……
怪獣退治だ、どっこいしょ。
頑張れ宙マン、次回もまた頼んだぞ!

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