2006/12/14
第64回 インターネット句会 2006.12
(参加者名.敬称略) 媚庵、 栄一、翠柳、長空、正紀、森平、美波、咲耶、深雪、きよみ、紅椿、孝久、はるを、ナツ女、友子、てい子、Kuro、晴生 (以上18名)
01 星冴ゆる獣の眼ちりばめて 榮一
[選者] はるを、孝久、友子、てい子、
[評]中七「獣の眼」と捉えた感覚の鋭さに乾杯(はるを)。星の明滅は確かにそう見える時があります(友子)。冷たく光る星まさにそんな感じです(てい子)。
02 解のなき数独のごと海鼠喰ぶ 翠柳
03 思はざる最終回の時雨かな 媚庵
04 子等の手の残すぬくもり雪だるま 晴生
[選者] 深雪、
[評]手作りの雪だるまの温かみがいい(深雪)。
05 年寄りの海鼠食ぶるも欠けてる歯 長空
06 黄葉を終へてポプラは静かな木 正紀
[選者] 媚庵、きよみ、栄一、孝久、てい子、
[評]静かな木が効いている。冬のポプラのたたずまい(媚庵)。やすらぎますね(きよみ)。好きな句ですが、類想はあるかも(栄一)。ポプラネット句会のことですか?(孝久)。
07 かたくなに沈思黙考のなまこ生く 森平
[選者] きよみ、長空、友子、
[評]尊いですね (きよみ)。海鼠が不言実行のいぶし銀のような人柄に思えますね(長空)。あまり反応がないのはそのせいかも(友子)。
08 冬に雨痛み始めし腰のあり 美波
09 佳き年の終はり近づく十二月 咲耶
[選者] ナツ女、
[評]「命」が今年の漢字に選ばれるほど、現実は心痛むことばかりの世界・世間が続いていますが、そんな中で佳き年と言えたことに乾杯(ナツ女)。
10 尾鰭なき海鼠何やら言ひたげに 深雪
[選者] 媚庵、晴生、Kuro、長空、
[評]なまこは何にも言わないけれど(kuro)。海鼠に同情します(長空)。
11 二千六年十二月の俳句 きよみ
12 山眠る終の棲家は母のそば 紅椿
[選者] きよみ、咲耶、はるを、
[評]そばがいいですね(きよみ)。一番落ち着ける場所ですね(咲耶)。優しさのある句ですね(はるを)。
13 憂国をかるく語るな赤海鼠 孝久
[選者] 咲耶、紅椿、友子、深雪、ナツ女、
[評]「憂国」との取り合わせが面白いです(紅椿)。同感です(友子)。この気合、頂きます(ナツ女)。
14 年忘れ終へ手土産のケーキかな はるを
15 悴みて終の住家の古りしこと ナツ女
[選者] 咲耶、
16 終金毘羅帆ばかり揺れて船見えず 榮一
[選者] 媚庵、
[評]終金比羅というのは知らないが、イメージすると豪華な帆か(媚庵)。
17 北海に朝日差し込む海鼠舟 翠柳
[選者] 長空、ナツ女、
[評]海鼠といえば食べる句の多い中、海鼠舟に眼を向けられました。捕られた海鼠の盗難が相次いでいるようです(ナツ女)。
18 着膨れて百人力と思ひけり 媚庵
[選者] はるを、栄一、
[評]俳諧味があってよい(はるを)。季語を逆手に取った句。まるで相撲取のように(栄一)。
19 前世をおもうて海鼠おもひけり 晴生
[選者] はるを、友子、
[評]リフレーンが効いていますね(はるを)。人間にも海鼠と共有するものがあると思います(友子)。
20 雪しまき終の住処に籠もりをり 長空
[選者] きよみ、てい子、
[評]養生なさってくださいね(きよみ)。人間に家ある幸せ(てい子)。
21 酢海鼠や外し続けし勝負時 正紀
[選者] Kuro、
[評]ほろ苦く、酸っぱい思い(kuro)。
22 終章も余白の多き日記果つ 森平
[選者] 翠柳、栄一、
23 海鼠とはいかなる味ぞ恙なし 美波
[選者] ナツ女、
24 枯木立寡黙に眠る時となり 咲耶
[選者] 長空、
25 終わり無きイラク内戦寒波急 深雪
[選者] 咲耶、翠柳、
[評]本当に早く平和になってほしいです(咲耶)。
26 海鼠さん牡蠣さんの日ができました きよみ
[選者] Kuro、
27 しぐるるやトレビアンてふ理髪店 紅椿
[選者] Kuro、
[評]とってもよい名前ですね。(kuro)。
28 一生を終へても焚火囲みたし 孝久
[選者] 媚庵、晴生、翠柳、
[評]死んでも焚き火にあたりたいという心理の妙(媚庵)。面白い (翠柳)。
29 海鼠食む勇気無きまま暮れにけり ナツ女
30 おもむろに手が先に出て焚火の輪 友子
[選者] 紅椿、孝久、
[評]いけない癖ですね(孝久)。
31 にんげんに成りそこねたる海鼠かな 榮一
[選者] はるを、孝久、深雪、
[評]「にんげんに成りそこねたる」とは、なんと面白い見方か(はるを)。海鼠の哀れさ感じます(孝久)。発送が面白い(深雪)。
32 終わりなき苦吟託(かこ)ちし去年今年 翠柳
[選者] てい子、
[評]同感です(てい子)。
33 妄想を紡ぎて暮るる海鼠の日 媚庵
[選者] 晴生、孝久、
[評]海鼠と囚われる妄想、イメージの湧く句です(晴生)。
34 細りたる氷柱に終の光あり 晴生
[選者] はるを、紅椿、長空、栄一、深雪、
[評]まさに写生の強みですね(紅椿)。氷柱の特徴を良くつかんでいます(長空)。氷柱も最後は一滴の水となる(栄一)。
35 十二月八日は勇み足なりき 長空
[選者] 翠柳、
[評]本当に愚行でした(翠柳)。
36 第二楽章始まるまでを咳きぬ 正紀
[選者] はるを、てい子、
37 学園の実験槽の冬田かな 森平
38 終の住み家菊大小の揃いをり 美波
[選者] 栄一、
39 うつうつと歳を重ねし海鼠かな 咲耶
[選者] 紅椿、
40 沈黙を夫と分け合ひ冬篭る 深雪
[選者] 咲耶、翠柳、てい子、
[評]もう言葉など無くても分かり合えるのでしょう!静かですね(咲耶)。熟年夫婦の景、その通りです(翠柳)。沈黙を分け合うで総て語っている(てい子)。
41 十二月ネット句会の終了す きよみ
42 海鼠桶まづは講釈賜りぬ 紅椿
[選者] 媚庵、Kuro、
[評]講釈されてから海鼠桶をのぞきこむ姿が想像できる(媚庵)。喜んで薀蓄を聞く余裕を持ちたい(kuro)。
43 返り花ともに見しひと戻りくる 孝久
[選者] Kuro、
44 冬日向「金子兜太養生訓」 ナツ女
[選者] きよみ、孝久、
[評]お会いしたことありますが、大きな声で元気一杯な方でした(孝久)。
45 茶畑に夕日浮ばせ年の市 はるを
[選者] ナツ女、
46 罪と罰海鼠ひとりで背負ふごと 友子
[選者] 晴生、紅椿、深雪、
[評]人間の背負っている原罪のように(晴生)。海鼠の形態の表現がユニーク(深雪)。
47 花咲爺枯れ木に花は雪のこと てい子
[選者] 咲耶、長空、
[評]とても綺麗です(咲耶)。雪の花を咲かすとらえ方がユーモラスです(長空)。
48 海鼠見る海鼠のやうな眼かな はるを
[選者] 晴生、翠柳、栄一、ナツ女、
[評]えたいの知れない海鼠を見る眼(晴生)。なぞなぞを聞くような・・・(翠柳).今回の海鼠の句の中ではしみじみとした実感のある句(栄一)。水族館へ海鼠を見に行き、手にとってみました。こんな眼をしていたかも?(ナツ女)。
49 排気音幼子の声冬の雲 Kuro
50 最終便やっと間に合ひ師走人 友子
51 終電に媼の独り年暮るる Kuro
[選者] 友子、
[評]終電に乗っている人は各々に物語がありそうな(友子)。
52 プライドは海鼠にもあり汝老ひて てい子
[選者] 友子、
[評]ますます人間に近づく海鼠(友子)。
53 海鼠噛む喰えぬ男に挟まれて Kuro
[選者] 晴生、紅椿、
[評]海鼠には一筋縄ではいかない感じがあります(晴生)。おつきあいも大変ですね(紅椿)。
54 読み終へし本の余韻や冬椿 てい子
[選者] 媚庵、きよみ、深雪、晴生、
[評]冬椿に表現された読後感さはやか(深雪)。

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2006/12/10
第64回 インターネット句会 2006.12
(参加者名.敬称略) 媚庵、 栄一、翠柳、長空、正紀、森平、美波、咲耶、深雪、きよみ、紅椿、孝久、はるを、ナツ女、友子、てい子、Kuro、晴生 (以上18名)
01 星冴ゆる獣の眼ちりばめて
02 解のなき数独のごと海鼠喰ぶ
03 思はざる最終回の時雨かな
04 子等の手の残すぬくもり雪だるま
05 年寄りの海鼠食ぶるも欠けてる歯
06 黄葉を終へてポプラは静かな木
07 かたくなに沈思黙考のなまこ生く
08 冬に雨痛み始めし腰のあり
09 佳き年の終はり近づく十二月
10 尾鰭なき海鼠何やら言ひたげに
11 二千六年十二月の俳句
12 山眠る終の棲家は母のそば
13 憂国をかるく語るな赤海鼠
14 年忘れ終へ手土産のケーキかな
15 悴みて終の住家の古りしこと
16 終金毘羅帆ばかり揺れて船見えず
17 北海に朝日差し込む海鼠舟
18 着膨れて百人力と思ひけり
19 前世をおもうて海鼠おもひけり
20 雪しまき終の住処に籠もりをり
21 酢海鼠や外し続けし勝負時
22 終章も余白の多き日記果つ
23 海鼠とはいかなる味ぞ恙なし
24 枯木立寡黙に眠る時となり
25 終わり無きイラク内戦寒波急
26 海鼠さん牡蠣さんの日ができました
27 しぐるるやトレビアンてふ理髪店
28 一生を終へても焚火囲みたし
29 海鼠食む勇気無きまま暮れにけり
30 おもむろに手が先に出て焚火の輪
31 にんげんに成りそこねたる海鼠かな
32 終わりなき苦吟託(かこ)ちし去年今年
33 妄想を紡ぎて暮るる海鼠の日
34 細りたる氷柱に終の光あり
35 十二月八日は勇み足なりき
36 第二楽章始まるまでを咳きぬ
37 学園の実験槽の冬田かな
38 終の住み家菊大小の揃いをり
39 うつうつと歳を重ねし海鼠かな
40 沈黙を夫と分け合ひ冬篭る
41 十二月ネット句会の終了す
42 海鼠桶まづは講釈賜りぬ
43 返り花ともに見しひと戻りくる
44 冬日向「金子兜太養生訓」
45 茶畑に夕日浮ばせ年の市
46 罪と罰海鼠ひとりで背負ふごと
47 花咲爺枯れ木に花は雪のこと
48 海鼠見る海鼠のやうな眼かな
49 排気音幼子の声冬の雲
50 最終便やっと間に合ひ師走人
51 終電に媼の独り年暮るる
52 プライドは海鼠にもあり汝老ひて
53 海鼠噛む喰えぬ男に挟まれて
54 読み終へし本の余韻や冬椿

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2006/11/21
インターネット句会のご案内
・1字兼題:「終」 1句
・季題:「海鼠」 1句
・自由題: 1句
合計3句
投句締切日:12月10日(正午)(毎月第二日曜日)
選句締切日:12月14日(正午)(毎月第二木曜日)
投句・選句送付先:晴生まで (haruo58@plum.plala.or.jp) (ご質問も承ります。)
注:この句会では、有季定型を原則としています。
毎月1回開催予定です。どうぞお気軽にご参加ください。
参加方法:
1. 上記のとおり、合計3句作ってください。1字兼題は必ずその字を使用してください。読み方は自由です。季題は、上記の言葉そのままでなくても、傍題でも構いません。各句にお名前を付けてください。お名前は俳号、ハンドル名等自由です。締切日までに上記送付先に投句してください。
2. 締め切り翌日に無記名の投句を(ぽぷら21ネット句会)に発表いたします。投句が発表されたら、ご自分の好きな句を兼題に関係なく6句選んでください。そのうち4句にコメントもつけていただけたら幸いです。コメントの書き方は、
[番号] コメント(選句者名)。
という形式にして、選句締切日までに上記送付先にお送りください。
3. 選句結果およびコメントを(ぽぷら21ネット句会)に発表いたします。これで終りますが、次回のご参加をお待ちしています。
4.投句は無料です。

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2006/11/16
第63回 インターネット句会 2006.11
参加者: 榮一、翠柳、媚庵、きよみ、森平、紅椿、孝久、美波、長空、晴生、てい子、深雪、咲耶、友子、ナツ女 (計15名 敬称略)
1 次々と知恵湧き出づる小春かな 榮一
[選者]きよみ、咲耶、孝久
[評] 躍動感のあるお句ですね(きよみ)。
2 深き海霧より忽然と巨船かな 翠柳
3 爺婆の頓知噺やむかご飯 媚庵
[選者]友子
[評] お年寄りとむかご飯の取り合わせがいいですね(友子)。
4 干柿に埋もれし母の便りかな 紅椿
[選者]きよみ、咲耶、森平、長空
[評] 母の愛ですね(きよみ)。母のぬくもりが詰まっています(咲耶)。故郷の母の温もりが感じられて有りがたい(森平)。ご母堂の愛情がうかがわれま(長空)。
5 良き知恵の袋づめなる葡萄かな 孝久
[選者]きよみ、長空
[評] 良き知恵の葡萄を感謝していただきたいですね(きよみ)。
6 したたかに雨に打たれて後の月 友子
7 小春日の眼もて語りし人と逢ふ 晴生
[選者]きよみ、咲耶、紅椿、深雪
[評] お逢ひできてよかったですね(きよみ)。いいですね!恋人かしら?(咲耶)。こんな人に私もなりたい(紅椿)。優しく温かい人柄が見えるよう(深雪)。
8 ひざ掛けに山茶花ちらし車椅子 森平
[選者]長空、美波、媚庵
9 くるくると烏賊を廻して浜は秋 美波
[選者]晴生、紅椿、森平
[評] するめ烏賊でしょうか。秋の風を感じさせます(晴生)。浜風と陽の光りと活気が伝わってきます(森平)。
10 知命より釣瓶落しの齢かな てい子
[選者]紅椿、翠柳、長空、深雪
[評] まさに実感です(紅椿)。身にしみて感じます(翠柳)。高齢になると明日死んでも不思議ではない心情になりますが、天命は分からないと思います(長空)。実感ですね(深雪)。
11 後の月露天に長湯してをりぬ 深雪
[選者]翠柳、てい子
[評] こんなシチュエーション、やってみたいですね(翠柳)。裸で見る月も格別と思う(てい子)。
12 ゴンドラの黒き輪郭十三夜 ナツ女
[選者]孝久、森平、深雪、媚庵、
[評] 黒き輪郭が良いです(孝久)。映像を見ているよう(深雪)。観覧車のゴンドラでしょうか。「輪郭」が効いています(媚庵)。
13 もんじゃ焼き商う路地の十三夜 森平
[選者]翠柳、てい子、美波
14 亡き父を偲べば知智の冬となる きよみ
[選者]咲耶
15 天界の母を偲ぶや十三夜 長空
16 赤彦の信濃は赤き後の月 媚庵
[選者]友子
[評] 「赤」に惹かれました(友子)。
17 後の月海の滴は海となる きよみ
[選者]晴生
[評] 満ち潮と満月の面白さ(晴生)。
18 知り人の顔にも似たり十三夜 咲耶
19 路地裏のもの煮る匂ひ十三夜 晴生
[選者]森平、深雪、美波、媚庵
[評] 薄暗く細い路地が見えてきます(森平)。リアリティがあります(媚庵)。
20 星月夜君知りたくて膝抱く 翠柳
[選者]紅椿
[評] 「君」が誰なのか気になります(紅椿)。
21 決闘に菊が邪魔なり菊人形 孝久
[選者]晴生、てい子、美波、友子、媚庵、ナツ女
[評] 菊人形の武者は、いかにもぎごちない(晴生)。菊人形の菊が邪魔とは発想が面白い(てい子)。決闘の言葉の意外性(美波)。目に浮かびます(友子)。笑ってしまいました(ナツ女)。
22 退院の前夜に見ゆる後の月 咲耶
[選者]きよみ、森平、長空
[評] 回復の安堵感とまだ多少の不安感が十三夜に照応した作者(森平)。退院おめでとうございます。入院中のいろいろなことが思い巡ります(長空)。
23 突立ちしままに枯れゆく貴船菊 深雪
24 一三夜一人の旅の北斗星 美波
25 知盛のこゑは海鳴り十三夜 紅椿
[選者]晴生、孝久、ナツ女
[評] 壇の浦の戦いで入水した平知盛と後の月(晴生)。知盛の怨念を感じます(孝久)。無常を思わずにはいられませんね(ナツ女)
26 衆知の名さらり呆けし秋日和 森平
[選者]てい子
[評] 秋日和が効いてさらっと流してるとこが良いと思う(てい子)。
27 寒月や影つなぎ合う幹と幹 長空
[選者]孝久、てい子、ナツ女
[評] 寒々とした枯れ林がみえます(てい子)。 よく気がつきましたね、寒々としているからこそ手を繋ぎ合っているよう感じられます(ナツ女)。
28 知らぬ間に口を閉ざせり秋の浜 友子
[選者]てい子
29 コンビニに団子売られし十三夜 てい子
30 十一月一日は二十四時間 きよみ
31 十三夜止まり木削りだすインコ 孝久
32 円周率3となしたる十三夜 榮一
[選者]きよみ、深雪
[評] 幾何学的捉え方面白い(深雪)。
33 知恵の輪にあそばれてゐる小夜時雨 ナツ女
[選者]紅椿、翠柳
[評] 中七が何とも言えずいいですね(翠柳)。
34 白骨の林の迫る鰤起し てい子
[選者]ナツ女
[評] 迫力のある句、草も葉も枯れ落ち幹だけになった白樺の林、単なる裸木ではないのです(ナツ女)。
35 オンコの実札幌もはや知らぬ街 美波
36 憂きこの世美(は)しき彼の世や後の月 翠柳
37 秋うらら知床五湖の水鏡 深雪
[選者]咲耶、孝久
[評] どこを見ても素敵です(咲耶)。知床五湖の景色が目に浮かびます(孝久)。
38 深秋の知覧の宿の渋茶かな 紅椿
[選者]美波、友子
[評] 知覧の言葉の重みも解る年代です(美波)。知覧はお茶の名産地ですが戦争の思い出も・・・(友子)。
39 藁塚の反対側に誰かゐる 媚庵
[選者]晴生、森平、ナツ女
[評] ミステリアスですね、「誰か」を誰にするかで句が変ります(ナツ女)。
40 あす知れぬ空に番ひの秋の蝶 晴生
[選者]紅椿、深雪、友子
[評] 過疎地の老夫婦と重なって、しんみりしてしまいました(紅椿)。本当ですね、そして人間も(友子)。
41 十三夜背なのリュックの重きこと 咲耶
42 後の月死亡診断書を胸に 榮一
[選者]長空
[評] お悔やみ申し上げます。逝去された方の生前の思いがひと汐感じられます(長空)。
43 露時雨返事の遅き手紙来る 友子
[選者]翠柳、媚庵、ナツ女
[評] 待ちわびた感じが「露時雨」という言葉で象徴されています(媚庵)。来てよかったですね(ナツ女)。
44 返り花退社の知己は古里に 長空
[選者]翠柳
[評] 侘しさの中に新たな希望が(翠柳)。
45 少年の冷たき指が鍵廻す ナツ女
[選者]晴生、咲耶、孝久、美波、媚庵
[評] いじめ!少年の体も心も冷え切っているのですね。何とかしなければ?(咲耶)。鍵廻すに性的なものを感じます(孝久)。少年が明かりのついていない家のドアをあけているのかしら(美波)。冷たき指という身体性が効果的(媚庵)。

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2006/11/13
第63回 インターネット句会 2006.11
参加者: 榮一、翠柳、媚庵、きよみ、森平、紅椿、孝久、美波、
長空、晴生、てい子、深雪、咲耶、友子、ナツ女 (計15名 敬称略)
1 次々と知恵湧き出づる小春かな
2 深き海霧より忽然と巨船かな
3 爺婆の頓知噺やむかご飯
4 干柿に埋もれし母の便りかな
5 良き知恵の袋づめなる葡萄かな
6 したたかに雨に打たれて後の月
7 小春日の眼もて語りし人と逢ふ
8 ひざ掛けに山茶花ちらし車椅子
9 くるくると烏賊を廻して浜は秋
10 知命より釣瓶落しの齢かな
11 後の月露天に長湯してをりぬ
12 ゴンドラの黒き輪郭十三夜
13 もんじゃ焼き商う路地の十三夜
14 亡き父を偲べば知智の冬となる
15 天界の母を偲ぶや十三夜
16 赤彦の信濃は赤き後の月
17 後の月海の滴は海となる
18 知り人の顔にも似たり十三夜
19 路地裏のもの煮る匂ひ十三夜
20 星月夜君知りたくて膝抱く
21 決闘に菊が邪魔なり菊人形
22 退院の前夜に見ゆる後の月
23 突立ちしままに枯れゆく貴船菊
24 一三夜一人の旅の北斗星
25 知盛のこゑは海鳴り十三夜
26 衆知の名さらり呆けし秋日和
27 寒月や影つなぎ合う幹と幹
28 知らぬ間に口を閉ざせり秋の浜
29 コンビニに団子売られし十三夜
30 十一月一日は二十四時間
31 十三夜止まり木削りだすインコ
32 円周率3となしたる十三夜
33 知恵の輪にあそばれてゐる小夜時雨
34 白骨の林の迫る鰤起し
35 オンコの実札幌もはや知らぬ街
36 憂きこの世美(は)しき彼の世や後の月
37 秋うらら知床五湖の水鏡
38 深秋の知覧の宿の渋茶かな
39 藁塚の反対側に誰かゐる
40 あす知れぬ空に番ひの秋の蝶
41 十三夜背なのリュックの重きこと
42 後の月死亡診断書を胸に
43 露時雨返事の遅き手紙来る
44 返り花退社の知己は古里に
45 少年の冷たき指が鍵廻す

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