2011/3/26

めんどくさがりの人のために 2  
前回の記事をアップしてから、残念ながら、
福島第一原発の状況はあまり好転しているとは言えません。
漏れ出した放射能が水源に入って水道水が汚染される、という、
実にキモチのよくない事まで起こってしまいましたしね。

「水源に放射能が入る」、というと、福田はどうしても、
1967年の映画「魚が出てきた日」のラストシーンを思い出してしまいます。
邦画界屈指の傑作「太陽を盗んだ男」のラスト近くのシーンは、
明らかにこの「魚が出てきた日」の、
「放射能汚染された水源で魚が死んで次々にぷかぷか浮いてくる」という
実にイヤーな感じのビジュアルイメージにインスパイアされてると思うんですが、
実際にはどうなのかなあ、長谷川和彦監督・・・。

なーんて、映画の話なんかしてる場合じゃないような気もしますが
実際には、事態はまだそこまでは全然至っていません。
まあ、至ってたら、こんな文章書いてるどころじゃないんですがw。
はっきり言って、「放射能汚染の水の中で魚がぷかぷか浮いて死ぬ」っていう状況は、
それはもう相当絶望的。
だって、「放射線」」ってやつは、水の中ではかなり弱まるんですよ。
なのに魚がばんばん死ぬ
。多分、γ線被曝か、中性子線被曝による即死なのかなあ。
そりゃもう猛烈な放射能がある。最低な事態です。

「放射能による水質汚染」というと、こんな最悪のイメージが先行しちゃう福田は、
今回の事態は個人的にはなんとも気分が悪いんですが、
現状の「水質汚染」レベルは(発表された数値を信じる限りは、ですけど)ほんとになんてことありません。
「汚染されてるのになんてことないってなんだよ、不謹慎な!!」とか言われそうですが。
確かに、赤ちゃんがいるお母さんは不安でしょうし、
気をつけるにこしたことはないですが、
少なくとも、自動車のまき散らす排気ガスの中で平然と暮らして、
世界中どこに行ったって酸性雨を浴びざるを得ない「現代人」が
いちいち気にするレベルじゃ全然ありません。
いいオトナがあわててペットボトル水を買いあさる必要も全くなし。


さて、なんだか前フリが長くなりましたが。
そろそろ前回の続きの話に移ります。

ウランは自然に「放射線を出しながら崩壊」して、何十億年もかけて鉛になる。
なぜか。それは、ウランが「安定した状態」を目指すからです。
ウランは「物質として安定した状態」でいるには、デカすぎる原子核を持っている。
だから、安定した状態に行きつくまで、どんどん「崩壊」を続ける。
どんなモノも、「最終的には安定したい」。
これが世界の最も基本的な原理。

不安定な雇用とか、遊び人の彼氏に弄ばれてる状態が普通「よくない」のは、
世界の基本原理に反するからなんです。ほんとかな。いや、多分。

さて、物質が安定を目指す過程=崩壊の過程でまき散らすのが「放射線」。
これにはいろんな種類があります。α線、β線、γ線、x線、中性子線・・
それぞれがどんなモノなのか、を詳しく書き始めるとめちゃくちゃ面倒なので
ここは文系らしく大雑把に、超かいつまんで書きますね。

「α線」(アルファ線)は、
原子番号「2」のヘリウム(陽子2、中性子2)の原子核と全く同じもの。
粒子としての明確な構造を持っていて「デカい」ですから、
飛んできても紙とかで簡単に遮断できます。

ちょっと待って、「粒」なのに「線」とはこれいかに?
この場合は、「粒の流れ」を、「線」と言っている、と思ってください。

「β線」(ベータ線)は電子線で、アルファ線よりは随分小さい粒子の流れですが、
これも貫通力は弱い。プラスチック板程度でも遮断が可能。

これに比べると、γ線(ガンマー線)、x線、などは、
「粒子」ではなく猛烈に波長の短い電磁波なので、
めちゃくちゃ透過性が強いです。
レントゲン検査で利用されるくらいですからね。
「放射能防護服」なんかでは全く遮断できないですし、
人体を通過するとき、細胞内のDNAを直接傷つけたりもします。
一番実害のある「ヤバい放射線」と言っていいでしょう。
防ぐには、かなりブ厚い鉛板などが必要です。

中性子線は、モロに中性子、です。
陽子といっしょに原子核の中にとどまっている時は無害ですが、
核崩壊で放り出された中性子は貫通力が強くて極めてキケン。

福田が子供の頃の「科学雑誌」には、
未来の兵器としての「中性子爆弾」の脅威がしばしば書かれていました。
中性子爆弾は、要するに、中性子を猛烈なイキオイでまき散らすだけで、
いわゆる「原爆」のような破壊力は殆どありません。
都市のインフラを破壊せずに、貫通力の高い中性子で生命体だけを殺す、という、
まさに局地戦用「殺人兵器」。
これが実用化されているのかどうか、福田は知りません。
作るのは全然難しくないので、多分、あるような気がするんですけどね。
あー、コワい・・・・ただ、空気中では中性子線は
せいぜい2〜300メートルしか飛ばないので、
事故を起こした原発から中性子線がばんばん飛んでくる、
とか言う事は絶対にありませんからご安心を。

さて。
では、こういういろんな「放射線」は、
ウランとかラジウムとか、
「鉛よりも重い(鉛よりも原子番号が上の)原子核を持って、崩壊しつづける物質」
からだけ、出てくるのでしょうか。
言いかえれば、「放射能」を持った物質は、必ず、鉛より重い??
・・・っていうか、必ず鉛よりも原子番号が上??

いいえ、全然そうではありません。

「鉛」よりもはるかに軽い物質であっても、その原子核が「不安定な状態」に陥れば、
その物質の原子核はやはり、放射線を出しながら崩壊していきます。

つまり、「放射能」を持った「放射性物質」になるのです。
そして、「安定した状態」になるべく、崩壊を続けます。

では、「原子核が不安定な状態になる」というのは、どういう事でしょうか。
具体的な例を挙げてみますね。

みなさんもよくご存じの「窒素」。
空気中に一番多く含まれているのがこの元素ですね。
原子番号は「7」。陽子7、中性子7、の原子核を持つ、極めて安定した元素です。
当然ながら、放射能なんか全くありません。

ところが、このとっても安定した原子核に、中性子が衝突する、と言う事がしばしば起こります。地球の空気の層の上の方は、太陽から来る放射線に常にさらされてますよね。
(一応書いておきますと、「太陽」はそれはそれは巨大な核融合炉で、とてつもない量の放射線をまき散らしてる「放射能の怪物」です)
そういうエリアに存在する窒素に、宇宙から来た風来坊みたいな中性子がぶち当るわけです。すると、不思議な事がおこります。
その風来坊中性子は、窒素の原子核に吸収され、
その原子核は、陽子6、中性子8の「炭素原子」になってしまうんです。
なんと、「窒素」が「炭素」になってしまうワケ。
まったくもって、原子核の気持ちはよくわかりませんな。
でもとにかく、そういうことが起きる。

でも、「炭素原子になった」と言っても、
「普通の炭素原子」にはなったのではありません。
元来「炭素」は、原子番号6。陽子6、中性子6で原子量12。これが「普通」。

ところが、「窒素から変身した炭素」は
陽子6、中性子8、つまり、中性子が2個多い!

ああ落ち着かない。
陽子の数が同じなので、原子番号はあくまで「6」、なんですけどね。
この陽子6、中性子8の「炭素」を、「炭素14(6+8だからね)」と呼びます。

この「炭素14」は、落ち着かない不安定状態を脱して安定した状態(もとの陽子7、中性子7の「普通の窒素」)に戻るべく、放射線崩壊を始めます。
ってことは・・・・・そう、要するに、もともとは放射能なんか全く出さなかった落ち着いた物質が、
放射性物質、になっちゃった
って事です。

ミミズがネズミになった上に実はブースカだった、っていうくらい不思議な話ですが、
これが事実なんだから仕方がない(丹波哲郎風)。

「炭素」に対する「炭素14」のように、
「原子番号は同じなのに、放射能を持つ物質」のことを「放射性同位元素」といいます。
同位、というのは、原子番号が同じ、という意味です。
このような物質は、数限りなく存在します。
いろんな物質はいろんなプロセスで「放射性同位元素」になりうる、ということです。

ちなみに、これもとては大事な概念ですが、
天然の放射物質も、放射性同位元素も、
ずっと同じ放射能を持ち続ける訳ではありません。

時間が経つにつれて放射能は弱まっていきます。
だって、壊れれば壊れるほど、物質は「安定状態」に近づくわけですからね。

ある放射性物質の半分の量が崩壊するまでの時間を「半減期」と言います。
炭素14の半減期は5000年以上。結構気の長い「崩壊」です。

さて、放射性同位元素の生まれ方は、
窒素のように「中性子をとりこむ」以外にもいろんなケースがあります。
今話題の「ヨウ素131」は、
ウランが崩壊していく過程で生まれてきます。

例えば、核燃料としてよく使われる「ウラン235」は、
陽子92、中性子143の原子核を持つ、とても不安定な物質です。
これは自然界には殆ど存在せず、「ウラン238」という、
比較的安定したウランを精製して作ります。
「ウラン235」がどのくらい不安定かと言いますと、
なんと「10kg」のかたまりにしたとたんに
猛烈な速度で核分裂を起こして爆発してしまう、というシャレにならんレベル。
広島の原爆は、5kgずつにわけたウラン235を、爆薬の力でえいやっと合わせる、
という、実に原始的な仕組みで巨大な核爆発を起こしました。
ちょい話がそれました。もとい。

今、ウラン235の原子核から「α粒子1つ」が放出されたとしましょう。
α粒子は陽子2、中性子2を持っていますから、
ウラン235は、原子番号が2個下の、陽子90、中性子141の「トリウム」に変わります(あくまでも考え方としてとらえてください)。
こういう現象を「核種が変わる」といいます。

こんなプロセスの中から、ヨウ素131も「誕生」します。
ヨウ素はもともと原子番号53、陽子53、中性子74の、安定した物質なのですが、
ウランの崩壊過程で誕生するヨウ素131は極めて不安定な放射性物質です。
半減期は約8日。

つまり、検出された時点から8日経つと、
その放射能は半分に、更に8日経てば4分の1に・・と減っていきます。
例えば、約一カ月である「32日」たてば、放射能は元の数値の(2分の1)の4乗、
つまり、16分の1に減る、ということです。
64日経ったら、(2分の1)の8乗、それはもう劇的に減る、という事ですね。
なので、ヨウ素131に関しては、検出された時点の数値に一喜一憂する必要は
あまりない、と考えてください。

つづく

2011/3/29  1:12

投稿者:同じ苗字デス
申し訳ありません、お名前を間違えてしまいました。平井「憲夫」さんでした。
さきほどの引用部分も正確には「事故だけでなく、地震で壊れる心配もあって、」です。

平井さんの文章は、とても読みやすい、優しい語り口という印象です。それだけに、胸にどーんと来ますね。
fukuda氏、紹介して下さって有難うございました!

2011/3/29  1:01

投稿者:同じ苗字デス
「2」のアップ、有難うございました。
2回繰り返して読みました。まさか人生の後半戦で、「放射性同位元素」とか「半減期」とかいう言葉をガン見することがあろうとは・・・

Twitterで紹介しておられた、平井常夫さんの文章を読みました。終盤の「(原発が)地震で壊れるとか、」の部分に、目が釘付けになりました。
地震で壊れる以前に、平井さんはものすごく危機を感じて警告を発しておられたのに、こうして、大地震も起きてしまった・・・だけど、平井さんがこの文章を書かれた1997年、自分はどう過ごしていただろう?

日々の生活に夢中だった。自分のことで精一杯。
っていうか、「自分とその周囲さえ安全ならOK!!」だったなぁ・・・

今、このような事態になってようやく、いろいろと考え始めた。遅い。
「ツケが回ってきた」覚悟は出来たつもりだけど・・・
やはり怖い。

2011/3/26  18:35

投稿者:みどりちゃん
放射線について何にもしりませんでした。少しだけわかったような気がします。日本中に原発はあるのですから、慌てず行動をしようと思います。そして被災地以外が今出来る事、日本の血流(経済)を止めないように贅沢は出来ないけれど今までのように仕事や勉学を頑張るのみです。おのずと日本はまた動き出すでしょう。みんなの無事を祈って早い復興を願うばかりです。

2011/3/26  10:15

投稿者:まりまり
文系と言うか体育会系に近いww私は、何度かキィーってなりそうでしたが、報道と併せて ココまで解ったのは、ヨウ素131は、心配せんでも、あっという間に減ると言う事。

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