2006/12/5

木の響きを感じる笛  ラブフルート

 心に方向があるとしたら、ラブフルートの音色は心の背後から全体を包み込むような響きのように感じます。気がついたら全体をそっと包み込んでいる..。それは自分がラブフルートを作りながら
静かに思い巡らしていることなのかもしれません。
 
 アメリカのサイトには随分様々なラブフルートが並んでいます。色も形も実に様々です。勿論音色も様々です。私が所有しているアメリカで作られたラブフルートは6〜7種類、10数本。これまでに吹いてみたフルートの種類は60種類程度かと思います。

 その体験の中で、自分はどんな音色のフルートを作っていくことになるのだろうと模索しながら過ごしてきました。今の段階で感じているのは、とにかく出来るだけ樹木そのものがもっている響きを感じられるということです。ほかの人にどう聞こえるかではなく、吹いている人自身がどんな状態になるかを考えているように思います。

 樹木の知り方感じ方にも様々な観点があると思います。植物としての分類や特質の類も興味深いと思います。手で触れたり目で見る感覚。どんな風に私たちと係わっているか、その用途などを知ることも楽しく豊かな気持ちへと繋がります。そして、私はといえば、私たちの息と樹木との触れ合いを大切にしようとしている者の一人かなと思います。

 そこで、出来るだけ木そのものの響きを感じたいと思うと、可能な限り木の厚みがあって、木の細胞の多様な構造に吹き込まれる呼吸との響きあいから感じ取る世界を旅するような気持ちになります。

 ところが、厚みが増して息を受け止める木の豊かな響きが生まれる反面、製作の面では難しさが多くなります。どこまで響かせることが、その木を生かし、吹く人の心に届くものになるのか、それは終始自分自身に問いかけながらの時間になります。その他に、ホールの調整の困難さがあります。厚みが増すほど、全体の音程を調整するための誤差が大きくなるのです。誤差が大きい分、何度も全体のホールの間を行ったり来たりすることになります。まして、それが硬い木になると労力の大きさもかなりなものになります。

 時折、こんなにエネルギーを注ぎ込まずに、薄くて軽めで加工しやすく、良く鳴るフルートを作ればいいのかもと思うこともあります。勿論、そういうフルートを求める方のためには、良く鳴るようにお作りしますし、そういう響きが人生に必要な時があるのだと思います。

 音の響きと心との関係をゆっくりと思い巡らしながら、気づいたことを取り入れ、音色の静かな変化を楽しみ、皆さんとの繋がりを大切にして行きたいな...と思っています。
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ