2007/6/5

自分と壁を繋ぐ響き  ラブフルート

 ゆるやかに、着実に...。ゆっくりと続いているラウンドレッスン。一人の思いが他の方々を呼び寄せ、集う方々が新たな人を招く。そんな風にして、いくつかのラブフルートリングが点在しています。

 その中に比較的ご高齢者が多いリングがあります。その中のお一人が何とかフルートを身につけたいと思い個人レッスンにやってこられます。ご自分の人生で笛を吹くことなど夢にも思わなかったとのこと..。昨年野外最後の恵み野グランドキャニオンでフルートの練習をしていた時、その方が笛の音色を耳にされたことが、新しい旅の始まりでした。

 それからほぼ半年、アスナロの太くて短いフルートとクルミとシウリザクラを合わせた中くらいのフルートと一緒に旅をしておられます。何をどうしたらよいかわからない状態から、少しずつ歩き始め、行きつ戻りつしながら忍耐強く続けておられます。

 そんなある日、なんとか目鼻をつけたいので個人レッスンをしたいということになりました。できる限りのことはやってみましょうということで始まったレッスンは集中的ですから、ラウンドレッスンではゆっくり伝えられないこともお話できます。その分、当人にはやや厳しいものになりますが、熱心にメモを取りながら通って来られる姿から、たくさん学ぶことがあります。

上手くできないという事態に直面した時、あれこれ言い訳をして投げ出さない。別の可能性を探ろうとして、指を動かしやすく、音の出しやすいフルートの製作を依頼されたこと。扱いやすいフルートに慣れてから、最初に希望していたフルートにチャレンジする。何気ない動きの中に個性が現れます。

 果たして自分が同じような年齢になったとき、そんなふうに生きるだろうか..健康で生き生きと過ごしていられる可能性すら怪しい..そうこう考えながら懸命に息を注ぎ、音色に耳を傾け、指を滑らかに動かそうと努めている姿を見つめています。

 個人レッスンの後は自分自身のレッスンです。個性的なフルート一本一本を取り出し、息を吹き込み全身でフルートとの一体感を確かめます。それと同時に最初に問いかけ、確かめることがあります。自分は何処にいて、何をしようとしているのか..。手にした笛はどこから来て、何処へ行こうとしているのか...。その流れる音色は何を意味しているのか..。

地道な積み上げの大切さを確かめつつ、新たな壁に直面する。この繰り返しの中で、なんとか旅を続けてきましたが、壁と向き合うときは自分と直面する貴重な機会です。いかに自分自身が見えていないか嫌というほど思い知らされる機会です。

 自分なりの納得、やっているつもりでいること...それらが視野の狭さや思い込みにつながっている...。音の世界はそれをまざまざと照らし出します。それは辛く厳しい現実と向き合う時間です。それをストレートに感じさせてくれるのが音の響きですし、そこから次にどうすればよいかを暗示し続けるのも音の響きです。

 自らの息を注ぎ込むときに現れる妖精が自分の弱さや安易さや愚かさを照らし出し、それと同時に深い慰めと励ましを告げる。継続するレッスンはそれを新たに確かめる大切な時間になっているようです。
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