2007/8/2

音域  ラブフルート

 ラブフルートは音域が狭いため、プロで演奏する何人かの方から2オクターブ出せないだろうか。せめて1オクターブ半は出せるものがほしいと相談されたことがあります。試みとしてアメリカの工房に依頼したものを見せていただいたこともありました。短いフルートと長いフルートを組み合わせるという考え方で作られたようですが、結果的に誰も吹きこなせないものになったようです。歌口も二つ、本体も二本。一体音の繋ぎをどうこなすのか..よほど巧みな人でも曲として成立させるのは難しいでしょう。

 この時、リコーダーやケーナやその他の笛たちのように裏穴を開けたらどうかと相談され、試作しましたがほとんど意味のないものになりました。先のフルートを製作したアメリカの工房の方も同じ結果だったとお聞きしました。その後しばらくは検討したこともありましたが、仮に音が出たとしても、それが美しい響きになるのかと考えると、疑問が生じ中断しました。

 R.Carlos Nakai&James DeMars の The Art of the Native American Fluteのテキストの中でも音域は1オクターブにプラス2ないし3音の運指が掲載されているだけです。運指には
いくつか流れがありますが、ほとんど左手の動きに違いがある程度です。ペンタトニックのスケールを平均律の12音階にする場合には、基準の音をどこにするか、最高音との関連で決めることになります。仮にドレミで吹いたとしても、和服でサッカーをするような感覚です。出来なくはないけれど、敢えて何故ラブフルートで吹かなければならないのか疑問がわいてきます。勿論、チューナーのない時代のラブフルートからすれば、何故ペンタトニックなのか...ということになるのでしょう。

 かつて吹いていたスチールフルートが4オクターブ、リコーダーが2オクターブ。どうやらラブフルートはほぼオカリナに近い音域と言えそうです。この6月の展示会向けに製作した太くて短いフルートを再度調整しているうちに高音とのバランスが難しくなり、思い切って通常のチューニングを諦めて、高めの音を選択しました。結果的に上の2音だけが唐突に上ずる感じのフルートになりました。

 ところがこのフルートを一般的な運指をやめて替え指を使うと、ペンタトニック5音階になりました。試しに12音階で吹いてみました。最低音をドと考えて吹くと1オクターブ上のドに加えて、レ、ミ、ファ、ラ♭が容易に出るようになりました。運指は少し複雑になりますが音域は広がります。

 ただ、音域が広がるとか、どの音が出るかといった価値観だけでは問題がありそうです。出来る出来ないということに意識が向きすぎて、出来ているつもりだけの本来の音の響きを忘れては本末転倒です。わずかな音域の中でも広がりや豊かさや力強さは十分生まれてくることに気づくとき、この音域の狭いラブフルートが何故、この時代に復活したか、少し秘密が見えて来そうです。
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2007/8/9  0:11

投稿者:SHO

森の水車さん。
初めまして!小さなブログにようこそ。きっとご自分の呼吸が美しく柔らかな響きに変わるだけも素敵なことだと思います。またお出かけください。

2007/8/8  23:45

投稿者:森の水車

今日はじめてラブフルートの存在を知りました。あちこち訪ね歩いていました。
心が震える懐かしいひびきでした。オカリナを三年吹いていますが、木のぬくもりを感じるラブフルートに出会えたら、きっと自分の一部になってしまうかも知れない・・・そんな予感

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