2005/10/21

絵本屋「ぽこぺん」さん  ラブフルート

 情景を観るだけで夢が膨らむ..そんな絵本屋さんが近くの町にあります。田園風景が見渡す限り広がっている町。その町の一本道をまっすぐ辿ると木の小さな建物が見えてきます。近づいて、扉を開けると、絵本がたくさん詰まった部屋が待っています。
 
 この町には、訪れた時から、絵本の中に入り込むような感覚があります。そして、ぽこぺんさんのお家は、絵本の中にある建物なのだと言われると、そうなんだ..と納得しそうな、そんな世界が待っています。絵本の中の絵本屋さんに入って、絵本大好きおばさんと挨拶を交わすといった感じです。

 様々なジャンルの絵本が分かりやすくまとまっていますから、直ぐに自分の好きなコーナーに立つことが出来ます。とても贅沢な空間で、おもちゃ箱を覗き込むような楽しみが湧いてきます。
 
 窓には木々のシルエットや草花や田園風景が見事にはめ込まれていますから、いつ訪ねても、その時々の楽しみが待っています。

 こうしたシンプルな空間と絵本には共通点があるような気がします。わずかな絵の空間と少ない文字で構成されることが絵本の特徴の一つかと思います。一生涯を10枚の絵とわずかな文字で表現してくださいと言われるような感覚。素朴な中に深い語りかけのある不思議な空間。分厚い理論書の隣に置かれた一冊の絵本。結局、同じ真理が並んでいたというところでしょうか。
 
 今回は絵本に関する記述が続きましたが、それはある意味で必然的な流れだったのかもしれません。というのは、ラブフルートの世界と絵本の世界がよくよく似ているように感じるからなのです。

 自然の中で育まれた木の笛。それは音の幅が狭く、他の有能な楽器のように巧みに、幅広く歌うことは出来ません。あの曲も出来ない、この曲も音が足りないという制約の多い笛なのです。指の穴は5つ、多くても6つしかありません。音量も小さくて、他の楽器にいつも圧倒されてしまいます。

 しかし、あなたには、それで十分ですよと語りかけてくる笛なのです。こんな単純な笛で何が出来るのか..。そんな思いになりそうなときもあるのですが、その笛で自分の心の歌を歌ってご覧と言われると、もうこの笛だけで十分ですという思いになってきます。
 
 こうして考えてみると、ラブフルートと出会ったところから、それぞれの愛の笛物語の絵本が始まるのかもしれません。

 たくさんの経歴があるのだから、10枚の絵で人生なんか現し切れないと感じる方には「この人にはたくさんの経歴がありましたとさ..」と一言書き添えるだけで、絵は無くてもいいでしょうと伝えることになるでしょう。

 壮大で長大な交響曲は、素朴な子守唄ほどに人の心を慰めてくれるものなのだろうか。人生の深遠を語る詩人は、舞い落ちる一片の枯葉の静かな語りかけに勝るのだろうか。

 それぞれの意義を大切にしながらも、時に人生全体の意味をじっくりと考えてみる秋。いつになく物思いにふけるとき、まばゆい月の光が自分を包み込んでいるような一夜。それもまたいいものかなと思います。
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