2011/2/6

ラブフルートの矢を放つ  ラブフルート

ここしばらくブログが盗難関連一色になってしまい、正直少し疲れ気味。こういうことも、人生の現実だからと思って書いてみるものの、実際盗難被害者日記になって貴重な一年のスタートがバタついてしまいました。

 楽しみながら書き込もうと思っていた、昨年暮れの三重県と大阪、神戸方面に出かけた時のエピソードなどは、時が過ぎ去ると、どことなく鮮度が落ちてしまったような感覚があります。

 ところが、この1月に再度神戸にお伺いする機会があり、新鮮な話題がありました。昨年末の神戸で色々な動きがあり、ラブフルートの事をお伝えしたり、演奏させていただいたり、影絵とのコラボをさせていただいたりしました。

 その中で、小さなイチョウの木で作られたフルートを吹いたのですが、その愛らしさに魅せられて、自分も吹いてみたいという方がおられました。太かったり、長かったり、重たかったりするフルートですとちょっと手を付けるのが難しく感じるものですが、小さいと気軽にできそうな気がするものです。

 翌日に、別の会場でワークショップや演奏がありますので、よろしければお出かけくださいとお伝えしたところ、その場で参加したいとお申し出頂きました。

 翌日、吹いている様子をうかがっていると、少しじっくりお伝えした方がいいと思う事が幾つかありました。沢山の人がいるときは、お一人の方に十分にお伝えすることが難しく、割と全体的な事をお伝えして終わってしまう事があります。

 そのご婦人は、85歳との事。息子さんが、どうぞ母が希望するラブフルートを作ってくださいと話しておられましたので、じっくりどんなフルートが希望なのかお伺いしました。手が小さいので、小さくて、少し細めで握りやすくて、こんな感じが良いと手にしたのは、今回盗難にあったシウリザクラのフルートでした。

 色々と思いがあって、時折ライブでも、このフルートを作るにいたったエピソードをお話ししながら吹かせていただいていたフルートです。4穴で、彫刻刀でコツコツと掘り上げた、わずか18センチの一品モノです。

 かなり手のかかるものでしたが、ご希望に沿うようにと、戻ってからすぐに取り掛かりました。その最中に、このまま仕上げたものを送るだけで良いものだろうか....。とっても楽しみにしていましたから、もし手元に届いても、吹けなくて失望させてしまったら寂しい思いをするだろうと思いました。吹く事に慣れていれば、多少手こずっても何とかなるのだと思います。

 ですが、85歳になって、初めてラブフルートを吹くのですから、戸惑うのが普通です。いままでにも、80歳過ぎて初めて吹こうとされている方々と出会ってきました。皆様、音楽教育など受ける機会もなく、戦争に関わっておられた年代です。楽器を奏でるなど、考えたこともなかった方々が、これなら自分に合うように作ってもらえるし、楽譜を気にすることもないので、やってみようという気持ちになれるのだとおっしゃいます。

 作りながら、自分は何をするべきか、ずっと考え続けました。ご婦人が、てこずって、失望することは目に見えていました。やはり、ラブフルートと一緒に、自分も行きます。日程が決まったら連絡しますとお伝えしたのです。そんな流れの、真っ最中に、盗難騒ぎが起こってしまいました。

 カード盗難もあり、こんな時に無理していかなくてもという声もありました。フルートを届けるための旅費はどうしよう...。カード会社の請求の事もある...。

 そんな中ではありましたが、お届けして、吹き方をじっくりお伝えするという気持ちだけは、はっきりしていました。

ひとりでも本当に、その音色響きを聴きたいと思う方がおられたら、出かけていきますと言い続けて来た演奏活動。

ひとりでも、ここを訪れて、希望や慰めや喜びを感じてもらえるならという思いで建てられたKOCOMATSU。その延長線上に、今回のこともある、それを確かめ、具体的に動きました。

 盗難事件を知って、密かに援助してくださる方がおられました。敢えてお断りはしていませんが、その中から旅費をお借りしました。ご婦人の健康状態が良くないというお話も耳にしていましたが、そのお話を伺っていなかったとしても、神戸には出かけていたと思います。

 嬉しそうにフルートを手にするご婦人の笑顔と姿は、これまでにラブフルートを手にして来られた見えない輪に繋がっているのだと思います。

ご婦人がワークショップで最初に手にされた、イチョウのラブフルートは戻って間もなく、別の方の手に渡って旅する予定になっています。イチョウのフルートは、初めて作らせていただきましたが、削っているとギンナンの匂いがしました。
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