26−8で早稲田の勝ち。
早稲田、力の差で圧勝。
なんて報道がされている。
でも、そんな試合じゃなかった。
少なくとも、今日秩父宮に来ていた多くの人も知っているはず。
一ヶ月前の対抗戦、0−54で慶応は負けた。
実際そのくらいの力の差はあると思う。
でも、慶応のフィフティーンは悔しかったんだろう。
それが今日フィールドで爆発した。
ものすごい精神力だと思う。
技術、体力でも数段の差があるのは見ていてわかる。
でも、慶応は気持ちで負けていなかった。
いや、圧勝だった。
早稲田の得点は殆どが入るべくして入った得点だったと思う。
でも、納得のいけるものじゃなかったろうなあ。
スクラム、モールでは完全に圧倒しているのに。
前半で得点上は差がついた。
それでも、慶応の心は折れる事なかった。
早稲田が綺麗にバックスでパスを回した。
タッチライン沿いを走りトライと思った瞬間、タイガージャージが横から飛んできた。
早稲田自陣密集からウイングが抜け出し50m以上独走。
だれもが行ったと思ったろう。
それでも懸命に慶応のバックスの選手が追った。
ゴール直前、彼はとびつく。
ほんの少しだけ、手の先がかかっただけに見えた。
でも・・・・
早稲田のウイングは倒れた。
フィジカルやテクニックを超えたスピリットで彼は倒した。
観衆も皆目の前で起きた事に震えたと思う。
おそらく早稲田を応援する人が多数だったろう。
早稲田の勝利と思って来ていた人が殆どだったろう。
でも、スタンドの殆どが慶応の魂のプレーに声をあげる集団に化していた。
試合終了のホイッスル。
ラグビーでいう『ノーサイド』
今日は、ピッチ上のみならずスタンドまで一体となった『ノーサイド』だった。
泣きじゃくりながら挨拶に来た慶応フィフティーンに皆が立ち上がり拍手を送った。
あちこちから『よくやった』『すごいぞ』の声。
ノーサイドの瞬間、膝から芝に足を落とす慶応フィフティーンを観て、思わず目頭が熱くなった。
それは悲しいとかいうより、素晴らしいものを感じさせてくれた感動からだったと思う。
正直おいらも早稲田が順当に勝ち進むもんだと思ってた。
今思うとめっちゃ恥ずかしい。
早稲田もいい経験をしたと思う。
彼らも一流のラガーマン。この慶応の気持ちが伝わらないわけがないと信じる。
かつて重戦車と言われた明治に立ち向かって行ったあの早稲田ラグビーを正月には必ず魅せて欲しい。
こういう素晴らしいものがあるから、ラグビーいやスポーツっていい!
慶応フィフティーンの皆さん、ありがとう。
試合には勝てなかったけど、決して負けていませんでしたよ。