2006/3/31

『キケロ;ヨーロッパの知的伝統』  お勧めの1冊

高田康成著、岩波新書、赤本627 1999年発行 紹介記事には『西欧近代を形づくるルネサンスの知的活動,それは永らく失われていたキケロ写本の再発見から始まったといってよい.以後,キケロは西欧精神を支える人文主義的教養の基礎として脈々と読みつがれてゆく,前1世紀のローマを政治家・弁論家・哲学者として生きたキケロ.その受容の歴史に光をあて,ヨーロッパの知的伝統を浮彫りにする』とある。 なかなか解りやすく面白い。

ペトラルカがイタリアのヴェローナでキケロの『アッティクス宛書簡集』を発掘したときの話で、 既にプルタルコス(AD46-120)が「キケロ伝」にその内容の一部を記載していたにも関わらずその発掘された書簡の内容に発見者ペトラルカが驚愕する下りがある。これはペトラルカがプルタルコスのキケロ伝を読めなかった、つまり彼はギリシャ語が出来なかったから。p27  

実際ギリシャの文芸思想が直接西欧に入ってくるのは14世紀末以来のことであり、しかも本格的な導入は19世紀以降わずか200年たらずに過ぎないとのこと。p174 しかもこの最後の200年はロマン主義的傾向によりギリシャは熱狂的に受け入れられ、<西欧文化の源>としていささか度の過ぎた評価がなされたとか。 

東西ヨーロッパの文化は共通性がかなりあるとよく言われるが、特に上に述べたようなことを考えると少なくとも近代に至るまでラテン世界はギリシャ世界を理解する素地を欠いていたと考えられる。 と考えると、今日西欧文化の源の1つがギリシャ世界だという言説は差し引いて考えた方が正解だろう。
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