2015/6/28

『不安定化する中国』11  お勧めの1冊

<いま此処にある危機>
ほとんどの憲法学者が「違憲」と断罪している法律を数にまかせて無理矢理押し通そうとしたり、政権に批判的な新聞社を「潰せ」と言っている方が、仮想上の外国の侵略より、もっと現実的な「いま此処にある危機」、それこそ「存立危機事態」だろう。

この先20年後、まだ生きていると思うが、そのころこの時期をどのように評価されるか、とても楽しみだ。その為にも今の安倍政権に肩入れする個人、集団を記録に残しておかないといけないとの使命感で一杯だ。

このblogは2006年スタートなので、まだ10年弱だが、それでも自分を含めた多くの人々の過去の言動を記録することで、後から検証するのに役立っている。 



『不安定化する中国』11
公務執行妨害を伴う集団行動(群体性事件=暴動と同じかどうかは不明)の数は98年から2009年まで(資料は2009年まで)10年間ほぼ直線的に増え、98年の1万件から、2009年の10万件。p199

98年に何か変ったのか?についての記載はない。また別の本によれば、2011年には18万件になっている。ということから、この伸びはそのままか、さらに加速したということだろう。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4034/trackback

なおこの本によれば、以前ではあまり考えられなかった民族間の摩擦(ウイグル族関連)がこの時点(2007年)で増えているという記載がみられる。 今ではよく知られている状況だが、この著者によれば、その理由は漢族の内陸投資への活発化とともに少数民族が沿海部へ移動していることがその理由とも述べる。P202

漢族の内陸部への投資、開発はよく指摘されていたが、少数民族自身の沿海部への移動にともなう事件の増加という視点はあまり云われたことがない。しかし考えてみればありそうな話。 最初にウイグル問題が知られるようになったのも広東省の工場でのウイグル族と漢族の激しい衝突、暴動だったと記憶する。これもウイグル族の沿海部への移動にともなう事件のだろう。

これまで中国では所得の不平等という点についてはあまり否定的な受け止め方はなかったが(それぞれの能力や教育の差という捉え方が主流だった)段々とそれを否定的にうけとりはじめたという。図表6-7

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この点について著者は「最後通牒ゲーム」理論を使い面白く説明する。このゲームは一方にある金額の配分を決める権限を持たせ、他方にそれを承諾する側を設定し、承諾すれば双方にその配分で金額が渡されるが、拒否すれば双方ゼロになるというゲーム。しかもこれは1回限りで、相手が誰であるかは判らない。

双方にとり割合が合理的であれば、提案―承諾はなされ、双方に金額は渡される。しかし相手に不公正さを感じる提案があれば拒否され、双方取り分がゼロになる。こうした非合理的行動はリスクがあってもデモに加わるという大衆の心理をよく捉えているという。p207

それに関連して、「トンネル効果」という現象も。これはトンネルの中での渋滞で先に進む隣の車列があれば、自分たちも前進する期待が膨らむ。これは経済発展の初期段階にある階層化が進んでいない社会では効果あるが、階層の固定化が起こり、別の車線の車は別の方向に進んでいて、渋滞が解消される期待が崩れたとき人々は無気力感を感じ社会不安を高める方に動くと。著者はいま中国でトンネル効果が段々効かなくなったと考えているようだ。p204

因みに格差が大きいのはアメリカであるが、この国には「機会均等」が浸透しており、階層移動の開放性に裏切られていないと考えられている故、格差が大きな社会問題にはなっていないと云う。p203
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2015/6/28  21:45

投稿者:Hiroshi

今、たまたま「农民工口述史」の訳本を読みはじめています。日本
の「女工哀史」という本と同じような内容かと。

日本にも同じような時代があったと考えるべきか、それとも中国特
別の事情があるのか、そこらも含めてこれから読んでいきたいです


ただ個人的には日本はこの時代を何とか巧く乗り切ったような気が
します。
blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/330/trackback

2015/6/28  12:28

投稿者:男子漢

トンネル効果が段々効かなくなった。
これ非常に実感しますね、なるほどと思いました。
私の今まで接してきた農民工(ほとんどが中卒でした)の人達の多くは、どこか自分の人生を諦めているようなところが有り、日本人のような出世欲など皆無で、働かないというわけではないのですが、仕事に対して投げやりな人が多かったです。
高学歴になるほどこの傾向が減っていき、仕事を覚えることにも積極的な傾向が有りました。
これは自分がトンネルのどの車線を走っているかの、自身の認識の差だと考えると納得がいきます。

http://ameblo.jp/nanzuhan/

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