2015/6/29

『不安定化する中国』12  お勧めの1冊

このところ中央アジアの本を図書館で探し出し、少しずつ読んでいるのだが、なかなか新しい本が無い。あってもロマン風シルクロード本で今ひとつ興味が湧かない。それに対し中国関連はどんどん新しい本が出され追いつかない。昔、カリブ・南米近代史に凝った時にも同じ思いを持った。その前に凝った西欧中世史に比べなんと数が少ないのだろうかと。そんなわけで、今読んでいる本もまた中国現代史関係。

その1つ『問答有用』に茅于轼氏(maoyushi)のインタビュー記事が出ていた。1929年生まれの同氏が日本の記者から日本占領下での経験について尋ねられると、

『お互い自分の政府の批判をしようや』p42  

と述べられたとか。敬意を払うべき。

それに比べ、一部の日本人の中には自国の政府批判、首相批判をすると「非国民」呼ばわりする人がいる。何と心の狭い人たちだろう。 




『不安定化する中国』12
クズネックの「逆U字仮説」というのがあるらしい。これは経済成長に伴い、格差は拡大するがある段階に至ると縮小に向かうというもので、これは20世紀前半の欧米を対象とした研究から唱えられたものらしい。p214

前半部は、都市への人口移動で非農業部門における格差拡大。後半部は@農業部門における生産性向上による産業間の格差縮小やA所得税や相続税さらには社会保障制度が整備されることによるとされる。p215

○以下は個人的な考えで著者の意見ではない:
これがどれだけ中国に当てはまるかだが、少なくとも前半部分は当てはまるだろう。問題は後半部分であるが、後で詳しく纏めたいと思うが所得税については所得の半分くらいが灰色で徴税対象になっていないこと。また相続税は事実上ないとのことでAについては当てはまらないこと。@についても相当な人口移動が起こり、さらに戸籍の移動=土地の集約が起こらないと効果ある生産性向上は難しいが、農民が戸籍を都市に移す事に積極的でない現状ではこれは難しい。つまり予想としては逆U字にはなりそうにない。

例えばあとで詳しくデーター紹介したいが、中国が日本並みの農民一人当たりの耕地面積を持つには農民の8割が都市民になる必要があるが、これは土地を手放すことを意味するのでかなり難しい。しかもそれでも精々日本なみである。日本程度の保有面積では土地の集約、生産性向上にはならないだろう。

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<医療の持続可能性の問題>
著者は現状が「出来高比払い方式」が「薬漬け、検査漬け」を引き起こしていると指摘する。実際、先に上海の某大病院で見て来たように、医師(教授級であるが)の給与の8割がこうした売り上げ=「出来高比払い方式」からの収入であることからもとても解決の方向性は見えない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3994/trackback

年金制度は地方政府に「丸投げ」の状態であり、保険料と賃金代替率は2008年の段階でまちまちである。例えば重慶や遼寧では、保険料は高く(28~25%)賃金代替率は一番低い(45%)。福建省では保険料は安い(~15%)が同時に賃金代替率は比較的高い(55%)。山東省では保険料は中間(~20%)で賃金代替率は一番高い(65%)。この理由として重慶や遼寧では国有企業がかつて多く、高齢者=年金受給者数が多いことでこのようにしないと制度が維持出来ないことがあるらしい。p235  

…そういえば薄氏は両地域の政府高官で辣腕をふるい毛沢東支持に似た大衆の支持を得たということだが、関係があるのだろうか?
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