2018/2/23

『人類のやっかいな遺産』9  お勧めの1冊

このところマスコミはオリンピック一色だ、特に日本のメダル数が長野を上まったとして大喜びしている。そのこと自体は悪いことではないし、別にケチをつけるつもりはないが、それにしても朝鮮情勢についての分析がこのところ無くなっているのが気がかりだ。

韓国がこれだけ北朝鮮のオリッピック参加を歓迎しておいて、終われば武力対立、最悪開戦という選択肢は難しい雰囲気になった。終了後に行われるはずの米韓軍事演習だって、

『せっかくの平和の祭典が成功裏に終わったのに何故やるのか』 というようなことを言い出す勢力が必ずでてくる。 

多分ロシアや中国はそう言い出すだろう。そしてグズグズしているうちに核保有国北朝鮮という既成事実が成立する。 しかし果たして米国はそのような事態を指をくわえて見ているのか? 何かが行われるという予感があるが、思い過ごしであることを望む。  とりあえず前回有効性が実証された「恐怖指数」は頻繁に見ておこう。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5221/trackback



『人類のやっかいな遺産』9
ここでクラークの『10万年の世界経済史』で議論されてあったことが、ここでも書かれている。つまり、イギリスでは中世、金持ちが貧乏人より子供の数が多かった。しかしマルサス的世界では金持ちの子供の多くは階級からこぼれ落ちて下層に移動した。これが上層階級の行動規範を下層階級にもたらしたと。p199 ここいう上層階級の行動規範とは非暴力、識字、倹約、辛抱強さだと。p200 

これらが後のイギリスにおける産業革命につながると云うのが著者らの仮説だ。つまり中流階級文化が生物学的仕組みを通じて社会全体に広がるという論理だが、それは「文化=行動規範」ではないのか? これまでの選択圧による遺伝子の変化という理論とは繋がらないのでは? p201
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4799/trackback

著者は中国の科挙制度のもたらした選択圧についても語る。科挙の <知識を問い独創性を損なう> システムは態度と意見の凄まじい均質性と従順性を選択圧として今日まで続いているとする。p207 確かにそれは選択圧かもしれないが、これも同様に遺伝子変異の選択圧とだけでなく、「文化形成」のための選択圧として考えてもいいはず。むしろそうではないか?

さらにアフリカの例を著者はあげる、アフリカでは外国勢力が引き上げてから(独立してから)2世代以上も経っているので植民地文化はある程度弱まっているはずだという。しかし現実はそうではない。これについて著者は、

『部族的行動は、文化に規定されるよりもずっと根深い。その長命と安定性は、遺伝的な基盤を強く示唆している』p220

つまり著者はアフリカ人の遺伝子の中に腐敗と収奪的制度を根付かせる情報が刻まれているという論理になる。これは確かに大変な言説だ、厳しく批判されるのは当然だろう。

ここでまた『10万年の世界経済史』で議論されていたポメランツの仮説が紹介される。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4798/trackback

彼は「当時ヨーロッパと同じような状況であった中国や日本でなぜ産業革命が起こらなかったのか」という疑問に対し、ポメランツは様々な理由を述べているが、ここではイギリスはカリブ海とアフリカへのアクセスが有利だったと。つまり三角貿易でアフリカとカリブ海を犠牲にして富を蓄積できたということだ。p222


追伸
どうも私にはこの著者が、それぞれの学説のいいとこ取り、つまみ食いをして自説に都合のいい形を作っているようにしか思えないが、どうだろう?
1



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ