長打も打てるリードオフ・マンと期待されて1番バッターを任されましたが、シーズン中にヒーローになったのは数えるばかりで、期待にはほど遠い働きでした。
選手全員が試合に集注しなければならない最終盤にきて、写真週刊誌に女性がらみのスキャンダルも暴露され、ゲームに対していい加減な意識しか持っていないように見える彼の振る舞いは、懸命にゲームに打ち込む選手たちを逆にピエロ的な笑いものに変えてしまうことにもなりました。
金本選手や赤星選手が身を削ってペナントレースに打ち込んでいるときに、鳥谷選手はそんなことは知ったことかと言わんばかりに女たちとうつつを抜かしていたのですから。
まじめにやっているものがアホウに見えるようなチームでは、選手のまとまりなどもう望むべくもありません。
まとまりをなくしたチームはただ転落するばかりです。
けれど、鳥谷選手の「不振」も「品位の欠損」も、彼自身の問題というよりも、岡田監督はじめチームの首脳陣や評論家、それにわたしたちファンの側にむしろ根本的な問題があるようです。
早稲田大学から大物ルーキーとして阪神に入団しましたが、そのときのはなばなしい輝きに周りのみんなの目がくらんで、あまりに大きな幻想を彼に抱いてしまったのです。
3割、30本、30盗塁はクリアできるバッターで、人格もしっかりしているに違いないと、みんながそう見誤ってしまったのです。
そんな幻想がプロ球界で3年も4年も続くというのは異常ですが、おそらくそこには同じ早大出身の岡田監督のいささか尋常ではない鳥谷びいきもあったでしょう。
鳥谷選手はショートの守りは堅実に進歩していますが、打撃は2割7分か8分くらいがほんとうの実力というところでしょう。
ホームランも20本にコンスタントに届くのはちょっと難しいのではないでしょうか。
打順としては7番くらいが身の丈に合った位置でしょう。
あまり器用な選手でもないですし。
それに彼にリーダーの風格を望むのはむりなことです。
二流とまではいいませんが、技量も精神(スピリット)もせいぜい一流半の選手です。
虚像を実像と見誤ってベンチもファンも彼に過大な要求をしてきたことが、大きな間違いだったというわけです。
もちろん打順やポジションは決して本人が決めるものではなく、監督の専決事項ですから、けっきょく、鳥谷の失敗は岡田監督の失敗ということになるのですが。

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