昨日、すみだトリフォニーホールでのコンサートを無事に終えることができました。演奏会の本番が3日間続いたので、疲労が声にでないか心配でしたが、なんとか乗り切れました。自分自身でも健康管理に細心の注意を払いましたが、やはり、私を支えてくれている周りの皆さんのおかげなんだな・・・とつくづく感じ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
しかし、振り返って録音や録画を聞き返すと、まだまだ自分の未熟さにがっかりしてしまいます。発声や音楽作り、それだけでは解決できないような、「内面」の充実が今の私には最も必要な気がします。
それにしても今回も素晴らしいピアニストさんと共演できて、ラッキーでした。11日の須江太郎さん、12日の大場由布子さん、そして蒲原有美さん、ご自分の音楽観を持ち、そしてテクニックも繊細な部分まで表現されていて、感心するばかりでした。
自分の演奏の方は、プーランクの「月並み」全5曲を丁寧に、そして大胆に歌えるように蒲原さんが引っ張ってくれたので、安心して集中できました。
演奏会後は大好きなお酒を飲んだら、緊張の糸がぷっつり切れてしまい、これまで溜めていた感情が涙と一緒にわき上がってきました。兄のように慕っている方と飲めたこともあって、ほっとしたのかもしれません。
演奏が終わるたびに思うことは、やはり天国にいる親父のことです。私の演奏には誰よりも厳しい人だったので、「俺の歌どうだった?」と聞くと、いつも渋い表情で感想を語る人でした。昨日も同じように心の中で親父と交信しました。それが複雑な感情の「涙」になりました。
♪難しい言葉はいらないの
慰めの言葉はいらないの
悲しいときには、うたうだけ
武満徹「うたうだけ」より