今日は、私の思春期に与えた一曲について書きたいと思います。それは、中森明菜さんがうたった「難破船」(詞・曲:加藤登紀子)です。明菜さんは私の青春そのもので、この曲に限らず、ほとんどのアルバム、DVDを持っていて、彼女が出演したテレビ番組は必ず録画して、繰り返し観ていました。
ほぼ同時代には松田聖子さんが売れていてライバル関係にありました。聖子さんは歌がとても上手で、作品にも恵まれていて、特にアルバムの完成度は高すぎるぐらい高かったです。
だから、私は「聴く聖子」、「観る明菜」と区別していました。明菜さんはシングル録音時よりも、テレビ番組に出演して歌い込むにつれ、その作品の良さを引き出していきまた。そして、明菜さんは新しいシングルを発売するたびに、斬新な衣装を身にまとい、華麗なるパフォーマンスで魅了してくれました。
明菜さんに興味を持つようになったのも、ツッパリ路線だったのがきっかけだったのですが、次第に、彼女の歌に対する執念深さに共感するようになり、益々好きになっていきました。ただ、ちゃらちゃらして周りからチヤホヤされたいという他のアイドルとは違い、いつも何かを抱えながら、というか背負いながら一曲一曲を懸命にうたっていた姿が、今でも印象に残っています。
その中で「難破船」は明菜さんそのものを表現した作品だったと思います。「たかが恋なんて忘れればいい、泣きたいだけ泣いたら」と言いながら、「折れた翼 広げながら あなたの上に 落ちて行きたい」と相反する複雑な気持ちを、大げさな表現さけて、ぐっとこらえて淡々とうたうのでした。当時、私は高校1年生で、まだ本当の恋にめぐり逢えるまでには時間がありますが、明菜さんの気持ちに自分の気持ちを重ねていました。男のくせに何だかへんだね

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2009年の夏に横浜で開催された明菜さんのライヴへHeroくんに連れて行ってもらいましたが、今頃は何をしているのでしょう?私は、無理に芸能界に戻ってこなくてもいいと思っています。でも、うたいたくなったら、いつでも出てきて歌を聴かせて欲しいです。その時は歌わされいる感じではなく、歌いたい曲だけを素直に表現して欲しいな、と思っています。
次は、ついにクラシックの名曲、あの作品について書きたいと思います。