宇多氏の「日本の海岸侵食」を図書館で見ました。海岸工学の専門的な知識が無ければ技術的な事は到底解釈に至らないものだけど、氏の解釈の中でしばしば港や防波堤が自然の漂砂をはばみ、汀線の後退を招く事が指摘してある。そんな事が信じられない程の数で、工事の結果として日本全国で起きているのが衝撃的です。冒頭として著書の「はじめに」を読んで
システムと言う言葉が出てきましたが、そこは海岸行政と向き合ったときにぶつかる難しい壁の事を意味するのかと思いました。
はじめに
わが国では、過去20〜30年ほどの間に急速に進んだ開発により、国土が大きく変貌して良好な自然環境が次々と失われ、人が健康で快適な生活を営むうえでも問題が生じるようになってきた。この結果、経済効率のみ重視して開発を進める方法に対する反省がなされ、現在では自然環境に十分配慮することが求められている。
わが国の海岸も、ここ20〜30年間の間に開発の波が押し寄せ、自然の砂浜であった海岸が護岸や消波ブロックで覆われた人口海岸へと急速な勢いで変わってきた。この状況がこのまま続けば、21世紀初頭にはわが国の海岸線の多くが人口海岸化されてしまうことになる。こうした状況を改善し、われわれの子供や孫の時代においても自然のままの砂浜海岸を残すには、わが国各地の海岸で起きた、あるいわ現在も進行しつつある海岸侵食について、その実態を十分理解することが必要とされる。
海岸侵食の問題は、一般に海岸工学の一分野として扱われてきているが、漂砂現象という難しい現象が関係するため、各種教科書から現象の理解を進めるのは容易ではなく、また海岸侵食の実体論について系統立ってまとめられた本が見当たらないことも問題解決を阻む一因となってきた。そこで、今回わが国における海岸侵食の実態についてとりまとめ、侵食原因の総括的究明を図ることとした。
なお、海岸侵食実態の記述においては、海岸の変遷写真を含む現地データをできる限りそのままの形で記録にとどめるように努めた。全国各地で生じてきた海岸侵食の実態を調べると、侵食問題は単に技術論上の問題ではなく、現在のわが国の社会システムそのものに深く関係する事がらまで踏み込んだ解決が必要な状況に近づいていることが明らかにされるが、このような点についてもできる限りの考察を加える。
1997年5月
全国の海岸線の上空写真の変遷('47〜現在)を見るだけでも、凄い変化をしていることが解ります。もし見かけたら見てみましょう!

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