
■奈良市の「ならまち」に行ってきました。ひさしぶりで、新鮮でした。私は奈良に住んでいるわけですが、「ならまち」に出かけることは年に10回もありません。私が住んでいるのは、奈良市の西部、新興住宅地のエリアで、ならまちは旧市街地。買い物も旧市街地ではなく、大阪か京都ということになります。普段の通勤も、旧市街地の手前で京都方面にむかってしまいます(京都からは滋賀へ)。「ならまち」は、今でこそ、観光地として人気が急上昇という感じですが、私が奈良に暮らし始めた20年前は、もっと地味な感じのエリアでした。そもそも、「奈良ファン」の皆さんって、そのような地味で、そして渋い奈良の佇まいが好きなんですよね〜。
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ならまち(wikipedia)
■写真は、ある町家の庭です。町家といはいっても、ならまちの伝統的な町家を再現したものです。ギャラリーとして使用されることがあるようです。「な〜んだ再現か…」といわないでください。トップの写真は、奥の間に通じる中庭の敷石なんですが、石と苔の具合がなんとも素敵だな〜と感じてシャッターを押したのでした。なにかの抽象的な絵を見ているような感じもしました。まちろん、これは現代的な要素も入れてデザインされているものだと思われます。
■町家とは、集住することを義務付けられた町人の店舗件住宅です。通りに面した部分は狭く(通りにできるだけたくさんの店舗を配置する)、奥は、よくいわれるように「鰻の寝床」のように細長くなっています。隣家とのあいだにはスペースがなく、窓もありません。採光と通風は、この庭からとることになりました。町家にとって庭はとても大切な存在です。ちょっと緑があるだけで、なんだか心がホッとします。ゆったりとした時間を感じることができます。

■「ならまち」を歩いていると、路地の奥に小さな看板が出ていました。中国茶を飲ませる
カフェです。看板や暖簾が出ていないと、ただの長屋にしか見えません。やや、躊躇い勝ちにお店のなかにはいってみました。すでに何人かの先客が、オーナーさんや店員さんと話しをしながら、中国茶を楽しまれていました。私も、代表的な中国緑茶のひとつである「龍井茶(ろんじんちゃ)」を注文してみました。開け放された入り口から庭にむかって、心地よい風がぬけていきます(まだ、真夏に入る前の季節だったものですから…)。とても小さな庭ですが、その庭の緑を眺めつつ、心地よい風にあたりながら「龍井茶」をいただいていると、ゆったりと移りゆく贅沢な時間を感じることができます(ちょっと陳腐な表現ですが…)。こういう楽しみが、私の日常生活のなかには決定的に欠けているのです(反省)。

■先日、この「ならまち」を舞台にした映画作品(DVD)を入手しました。河瀬直美さんの監督による『
沙羅双樹』です。どのような作品なのかは、河瀬さんのサイトのなかの
解説をお読みいただきたいのですが、河瀬流といいますか、ドキュメンタリーの手法を取り入れた独特の雰囲気です。先日、このDVDを自宅でみていたのですが、途中で用事ができてしまい鑑賞を中断してします。そのうちに、きちんと、最初から楽しみたいと思います。
■さて、さきほどカフェを出て、また「ならまち」を歩くことにしました。ここから、庭の話しでも、映画の話しでもないんですが、ちょっと気になった建物をいくつか…。【右】何十年前からあるんでしょう、この模型店。漏れ聞く情報によると、おばあちゃんがお店番されているらしい…。いや〜、奈良らしく渋いです。【左】こちらは、最近の観光スポットの「ならまち」らしさを代表するようなカフェ。写真を撮るばかりで、入店したことはありませんが、季節の野菜と自転車が飾られています。【中央】そして、こちら。猿沢の池のそばにあり、「ならまち」ではありません。でも、横綱級ですかね。もともとは、何かのお店だったのでしょう。

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