
■前回のエントリー「赤羽台地を歩く(その3)-真性スリバチ-」の続報的なエントリーです。前回のエントリーでは、次のようなことを書きました。
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よ〜くみると、わずかに、東の谷にむかって切れ目があります。地理や地形のことがよくわからないままに歩いたので、この切れ目を確認することができませんでした。実際のところは、どうなんでしょうか。このあたりが、地理的なことに疎いただの社会学者の悲しいところです…。私の大変・大変素朴な疑問は、「4方を斜面に囲まれた『真正スリバチ』に降った雨は、どこに流れていくのか…」という、なんともお粗末なものなのだったのですが…(「地下鉄って、どこから入ったんでしょうね」春日三球的な疑問です)、たぶん、この土地条件図にある切れ目から流出しているのかな。
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■このエントリーをお読みいただいたからだと思いますが、今日、東京在住の写真家masaさんからメールをいただきました。メールには、トップのような凸凹地図が添付されていました。私が「
カシミール3D」のような地図ソフトを使いこなせて、自分で凸凹地図が作れることができればよいのですが、なかなかそこまで踏み込む余裕がありません。ということで、地形の凸凹を表現したくても、自分ではなかなかできずに、前回のエントリーでは、「国土地理院土地条件図」を利用させてもらいました。その様子をご覧になって、masaさんは「仕方がないな〜」とお思いになったのかもしれません。いつもすみません、masaさん。ありがとうございます。
■masaさんからいただいた凸凹地図、ご覧いただければわかるように、赤羽台を示したものです。その中央、赤い丸で囲んである部分が「真正スリバチ」です。はっきりわかりますね。完全に回りが囲まれています。しかし、その赤い丸の横に、小さな青い丸もあります。この部分、「国土地理院土地条件図」では切れていた部分です。masaさんからの情報では、陸軍が軍用鉄道を通すために埋めたものだそうです。masaさんご自身も、「東京スリバチ学会」で、この「真正スリバチ」をフィールドワークされたさいに、学会の関係者のお話しとして耳にされたことのようです。なるほど〜、これで合点がいきました。
■ここで、iGaさんの『MADCONNECTION』のエントリー「岩淵・水辺と崖線...『JEDI・春だから荒ぶる川の桜と水門...』」に
掲載された1921年(大正10年)の地形図をもう一度見てみたいと思います。この大正時代の地形図では、「真正スリバチ」の位置は、「火薬庫」(地図の表記では「庫薬火」)の少し南側になります。「火薬庫」とのあいだには、ほぼ東西に道路が走っています。さらに少し西にいくと、今度はほぼ南北に道路が走っています。この「ほぼ東西」と「ほぼ南北」に北と西を囲まれる位置に「真正スリバチ」があります。その「真正スリバチ」の少し南をみますと、東北方面からは、引き込み線が続いているのがわかります。この引き込み線は、「真正スリバチ」とそこにつながる谷とのあいだにある、わずかな「切れ目」の上を通り、さらに南にある「兵器庫」につながっています。なるほど、masaさんが耳にされた「陸軍が軍用鉄道を通すために埋めた」というのは、こういうことだったのですね。これで、なぜ「真正スリバチ」のような地形ができたのか、納得できました。ただ、「『真正スリバチ』に降った雨は、どこに流れていくのか…」という「地下鉄って、どこから入ったんでしょうね」春日三球的な疑問についてですが…。なんらかの排水路のようなものを、谷の埋め立て同時につくったのでしょうか…。まあ、こんなことを「心配」するのは、私と春日三球さんだけですかね…。
■さてさて、今回も、凸凹地図ではmasaさんにお世話になりました。しかし、これではいけません。
■今日、勤務先の大学を定年退職された先生と、大学に向かうバスのなかで一緒になりました。その先生がおっしゃるに、「メールは使えるようになったのだが、添付書類を開けて修正して、それを送り返すことができない」というのです。つまり、ワープロが使えない…ということですね。私は、「先生、そんなのすぐにできますよ。書店でもわかりやすい基本的なことについて丁寧に書いた本がありますから、勉強なさってみてはどうですか」なんて言ったのですが…。それはそっくり、自分にも言えるわけでして…。「カシミール3D」基本的なことならば、すぐに使えるんじゃないの…という声が聞こえてくるような気がします。がんばります。できれば、「赤羽台地を歩く」のシリーズの最後には、拙い自家製凸凹地図をご披露できればと思います。
【追記1】■masaさんからは、コメントとは別に地図が添付されたメールをいただきました。米軍の地図だそうです。masaさん、本当にありがとうございます。黄色と白の色使い、ここが赤羽台って気がしませんよね。
■ところで、肝心の「真性スリバチ」なのですが、この米軍の地図でも、「真性スリバチ」の南東からビンの首のようになっているように見えてしまうのですが…。土崖の記号とは違います。なんだかカビが生えているような感じ(^^;;の記号ですが、これはなんでしょうね〜?調べてみたのですが、地図に関する教養と知識が欠如し、それから基本資料がないので、よくわからないのです。はたして、真相はどうなんでしょうね。

【追記2】■masaさんから、米軍の地図記号の凡例をいただきました。「真正スリバチ」のところに表記してある記号は、どうも「limiting danger line」のようです。なんと翻訳すればよいのか…。おそらく「危険界線」なのでしょう。海図で使われる用語です。「干出岩、洗岩、暗岩、珊瑚礁などによる航行上の危険界を海図上に示した線」。でも、ここは地上です。台地の上です。う〜ん、どう理解したらいいんでしょうね。やはり、「真正スリバチ」、戦後の段階では「危険」だったんでしょうか…。

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