■中国からの留学生のS君が、研究の中間発表をするめたに日本に戻ってきたました。3年間博士課程で研究を続けてきましたが、今年の春からは、中国の大学の外国語学部(外語学院)に復職し、働きながら博士論文のに完成を目指して頑張っています。彼は、中国の大学で日本語を教えています。昨日、ひさしぶりに会ったS君からお土産をいただきました。月餅(げっぺい)です。中国ではこの季節、親しい人たちのあいだで月餅を贈り合います。そこでふと気がついたのです。昨日が、中秋の名月であることを。
■S君の博士論文や中間報告での口頭発表の指導を終えたあと、「中秋の名月をみたい」という気持ちがむくむくと湧きあがってきました。月をみるだけならばどこでもよいわけですが、私には「ぜひ、ここからみてみたい」という場所がありました。そこは、「北船路米づくり研究会」で活動している比良山麓の棚田です。それも棚田の一番てっぺん。ここからは、琵琶湖を一望できます。この場所から、湖東の山からゆっくり登りながら琵琶湖の湖面を照らす「中秋の名月」を、みてみたいと思ったのでした。しかし、時間はすでに17時前。もうじき月の出だったはずです。これは、どう考えても無理。ところが…。
■「北船路米づくり研究会」では、メンバー間の連絡用に、「おおつSNS」にコミュニティを置いています。そのコミュニティに、「今日は、中秋の名月。おそらく、北船路の棚田から見る満月は、素晴らしいことでしょうね〜。琵琶湖の湖面に月光が反射して…想像するだけで素晴らしい」と書き込みをしたところ、すぐに指導農家Fさんから「今日は、午後から稲刈りで休んでました。ほ〜!だんご-○○○―持参で見に来て下さい」とお返事の書き込みがありました。今年は「中秋の名月」をみることは無理だなとあきらめていたのですが、御言葉に甘えて、北船路にお邪魔することにしたのでした。
■北船路の最寄りの駅は、JR湖西線の蓬莱駅。湖西線に乗り換える山科駅では、私の到着が遅いのを心配したFさんから「せんせー、もうお月さん、登ってまっせ〜」と連絡が入りました。しかし、ドラえもんの「どこでもドア」は持ち合わせいません。蓬莱駅についたときは、すでに17時37分になっていました。駅のプラットホームからも月がすでに登っているのが確認できました。これは、ヤバい…。駅前には、Fさんが車で迎えに来てくれていました。駅からFさんの車で、一路、棚田の一番てっぺんに急ぎました。
■車を降りました。「中秋の名月」が琵琶湖の湖面を照らしている幻想的な風景がドーンと眼の前に広がっていました。素晴らしい!!めちゃくちゃ感動しました。トップの写真は、その一番てっぺんに到着したときにiPhoneで撮ったものです。iPhoneのカメラだと、この感動をうまくお伝えすることはできません(写真の腕も…問題ですね)。これはやはり、夕方から待機して、じっくり月の出から「鑑賞」するべきでした。想像以上の風景でした。農村の北船路の魅力は、棚田の味の濃い米、新鮮な野菜に加えて、この棚田からの風景にあります。棚田「そのものの」風景ではなく、琵琶湖を一望する棚田「からの」風景です。
■「中秋の名月」に照らされながら、Fさんと語り合いました。指導してくださっている学生のこと、「北船路米づくり研究会」のこれまでの活動のこと(先日の、「北船路野菜市」のことも含めて)、そして今後の研究会の活動の展開…。今後の活動の展開として、この風景を楽しみながら、「その日だけの野外レストラン」を実現しようという話しにもなりました。北船路の美味しい農産物を使った野外料理のレストランです。街からやってきた人たち、比良山の登山を終えた人たち、そして村の人たちとで交流しよう、北船路の魅力をしっていただこう…そういう企画です。プチ・グリーンツーリズムです。戌年生まれの、同い年のおじさん2人が月光に照らされながら夢かを語り合う…といっても、皆さんには、あまりロマンチックなシーンではないかもしれませんね。しかし、素晴らしい風景のなかで地域の夢を語りあうこと…、私にはとても幸せな経験になったのでした。

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