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現代ビジネス」というwebマガジンの記事が目にとまりました。「
当事者が初めて語った「放射能失言」の裏側!鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった」という、長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ、東京新聞・中日新聞論説副主幹)さんの記事です。
■すでに多くのマスメディアからの情報で、鉢呂さんの「放射能失言」についてはご存知のことでしょう。この長谷川さんの記事で、そのあたりの「裏側」の話しが書かれています。「放射能をうつしてやる」発言の第一報はフジテレビだったようですが、鉢呂さんの記憶では、その場にフジの記者はいなかったというのです。詳しくは、記事をお読みいただきたいと思いますが、長谷川さんは、その背後に次のような状況が存在していたことをインタビューから明らかにされています。
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-脱原発依存やエネルギー政策はどう考えていたのか。
「政府はエネルギー政策を大臣レベルの『エネルギー・環境会議』と経産省の『総合資源エネルギー調査会』の二段構えで検討する段取りになっていた。前者は法律に基づかないが、後者は法律(注・経産省設置法)に基づく会議だ。調査会は今年中に中間報告を出して、来年、正式に報告を出す方針だった」
「このうち総合資源エネルギー調査会は私が着任する前の6月段階で、すでに委員の顔ぶれが内定していた。
全部でめ15人のうち3人が原発反対派で残りの12人が賛成派だ。私は事故を受けて、せて賛成派と批判派が半数ずつでないと、国民の理解は得られないと思った。それであと9人から10人は反対派を加えて、反対派を合計12、3人にするつもりだった。委員に定数はないので、そうすれば賛成と反対が12人くらいずつで半々になる」
-それには役所が抵抗したでしょう。
「役所は『分かりました』という返事だった。私が出した委員候補リストを基に人選を終えて、後は記者発表するばかりのところだった」
-もう一度聞くが、それで役所と激論にならなかったのか。
官僚は面従腹背が得意だ。
「私は最初から強い意思で臨んでいた。私は報告書の内容が必ずしも一本にならず、賛成と反対の両論が記載されてもいいと思っていた。最終的にはエネルギー・環境会議で決めるのだから、役所の報告が
両論併記になってもいいでしょう。私のリストは後任の枝野幸男大臣に引き継いだ。後は枝野大臣がどう選んでくれるかだと思う。」
この話を聞いて、私は「
これで鉢呂が虎の尾を踏んだ可能性がある」と思った。鉢呂は大臣レベルの会議が物事を決めると考えている。ところが、
官僚にとって重要なのは法律に基づく設置根拠がある調査会のほうなのだ。
なぜなら、法律に基づかない大臣レベルの会議など、政権が代わってしまえば消えてなくなるかもしれない。消してしまえば、それでおしまいである。ところが、
法に基づく会議はそうはいかない。政権が代わっても、政府の正式な報告書が原発賛成と反対の両論を書いたとなれば、エネルギー政策の基本路線に大きな影響を及ぼすのは必至である。官僚が破って捨てるわけにはいかないのだ。
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■この事実に続いて、次のような指摘もされています。これは、あくまで長谷川さんの推測ではありますが…。
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経産省は鉢呂が原発エネルギー政策を中立的な立場から見直す考えでいることを承知していた。具体的に調査会の人選もやり直して、発表寸前だった。
そういう大臣が失言で失脚するなら当然、歓迎しただろう。
そして「死の町」に続く決定的な"失言"をテレビが報じたのを機に、新聞と通信各社が後追いし既成事実が積み上がっていった。いまとなっては真実は闇の中である。
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■記事のなかには、「大臣レベルの『エネルギー・環境会議』と経産省の『総合資源エネルギー調査会』の二段構えで検討する」とありますが、この政策決定のプロセスが孕む問題、どうなっていくのか注目です。「あっ…やっぱり」となるんでしょうか。長谷川さんが書かれている事実があるとすれば、失言問題以上に、こちらのほうこそ、もっと精力的に取材すべきでしょうに。
【追記1】■昨日(9/15)、こんな記事が出ましたね。
時事通信です。
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「脱原発派、調査会で増員=着工済み原発の稼働も−首相、議員定数削減で協議呼び掛け」
野田佳彦首相は15日午後の衆院本会議で、原発依存度の低下に向け、新たなエネルギー基本計画を審議する総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)について、「これまでの政策に批判的な委員の数を増やす」と述べ、「脱原発」派の委員を積極的に起用する考えを表明した。公明党の井上義久幹事長への答弁。
同調査会は来年夏までに基本計画を実質的に策定する。現在、原発推進派が委員の多数を占めており、先に辞任した鉢呂吉雄前経産相が構成を見直す意向を示していた。首相はこれを断行することを明確にし、「オープンでバランスが取れた議論ができるようにする」と強調。枝野幸男経産相も「(推進派と批判派が)半々になるか断言はできないが、バランス良く選ぶ」と述べた。
首相はまた「原発の新増設は困難」と指摘する一方、着工済みの原発に関しては「進捗(しんちょく)状況もさまざまであり、立地地域の意見も踏まえながら個々の事案に応じて検討する」と述べ、完成後に稼働させることもあり得るとの認識を示した。
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【追記2】■鉢呂さんの記者会見での「ヤクザ言葉」記者。ネット上でも、それがどこの記者なのか、追求続いています。そのご本人、上司とともに鉢呂さんに謝罪したという話しも、本文で紹介した長谷川さんの記事に出てきます。

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