■今日は、勤務している龍谷大学の本部のある深草キャンパスで9月の卒業式と入学式がありました。正確には、「2011年度9月 学位記、卒業証書・学位記、修了証書 授与式」と「2011年度 第二学期 入学式」です。私も、出席しました。会場は、深草キャンバスにある「顕真館」です。
大学のホームページの説明によれば、この「顕真館」を次のように説明しています。「顕真館の名称は親鸞聖人の主著『顕浄土真実教行証文類』(一般に『教行信証』あるいは『教行証文類』と呼ばれている)から名づけられました。本学の建学の精神を具現する教育施設の原点たる性格を持つ建物で、講義や入学式・卒業式などが行なわれる講堂であるとともに、勤行・法要・各種宗教行事などが行なわれる「礼拝堂」として、1984(昭和59)年3月13日に竣工しました」。2004年に私がこの大学に赴任したときに、そして昇任、役職への就任時にも、ここで式が執り行われました。とはいえ、私は瀬田キャンパスに勤務しているので、あまり馴染みのある建物ではありません。入り口の上には、なにやら絵画がみえます。
■この絵画については、こちらに赴任したときに知ることになりました。日本画家・平山郁夫さんの「祇園精舎」です。以下のような説明が、さきほどの大学のホームページにあります。「この正面の陶板は龍谷大学の正門から入ると一番目立ちます。非常に大きいもので、縦5メートル、横11メートルあります。平山郁夫画伯の「祇園精舎」と題される釈尊説法図をもとに、平山画伯の監修により大塚オーミ陶業が制作したものです。一枚の絵の陶板としては日本一大きなものです。祇園精舎は平家物語の序文(「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」)で有名ですが、仏教の聖地としては、竹林精舎や霊鷲山などと並んで釈尊が説法した場所として非常に有名です。今でもインドにはその蹟が残っています。『仏説阿弥陀経』というお経(聖典108頁)もこの場所で説かれました。顕真館でもこの祇園精舎と同様にさまざまな法話や講演が行われています。」
■入学式が終了したあと、会場では、世界各地からやってきた留学生たちが集合写真を撮っていました。私も、便乗して撮らせていただきました。世界の大学の年度始まりは9月なので、多くの留学生の入学は9月になるようです。4月の入学式であれば、ほとんどが日本人の学生たちなので、留学生の姿はそれほど目立ちませんが、この日は、独特の雰囲気がありました。入学式、良いものですね〜。
■正面中央に安置される本尊は、親鸞聖人直筆(ご真筆)の六字名号「南無阿弥陀仏」を拡大模写して、樺に彫ったものなのだそうです。浄土真宗の宗門校である大学に勤務しながら、「親鸞聖人ご真筆」ということを長らくわかっていませんでした。情けないというか、お恥ずかしいというか…。おそらく学生の皆さんは、きちんと授業で教わっていることと思いますが…。これまた、さきほどの大学のホームページによれば、以下のように説明されています。「この六字名号は「南無阿弥陀仏」を中央に、讃銘として上部右に『必至滅度の願』の第十八願(念仏往生の願)文、左に第十一願(必至滅度の願)文を、下部には同経の「大悲摂化の文」八句などを書いた小紙が添付されています。聖人84歳時に書かれ、下人の弥太郎に与えられたと言われています」。今日も、赤松徹真学長が、親鸞聖人ご真筆の六字名号「南無阿弥陀仏」のことについて、式辞のなかで触れられました。
■ところで、ここからがやっと本題です。この「顕真館」には、宗教部がおかれています。今日は、入学式の後、宗教部の事務室にお願いにあがりました。宗教部報「りゅうこく」No.80(2007年)をいただけないか…というお願いです。このNo.80には、かつて学長をされいた神子上恵群(みこがみ・えぐん)先生の学長法話が収録されています。以前、ちらりと拝見したときに、神子上先生の法話のなかに、念仏禁制下の薩摩藩で、浄土真宗の信仰を貫き21歳で殉教した「千代女」のことが、そして信仰の絶対性を貫きながら、宗教間の対話は可能なのか…そのような法話が収録されていたように記憶していたからです。先月、鹿児島を旅行して、「隠れ念仏」のことを博物館の展示で知り、突然、神子上先生の法話のことが頭に甦ってきたのです。不思議なものですね。このことについては、まだ書く予定の「2011鹿児島旅行」の続きのなかで、触れたいと思います。

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