■3月11日、東日本大震災が発生しました。大震災が発生したとき私は、1人暮らしをしている老母の生活介護のために、母の家に行っていました。母の注文どおりに買い物をすませて家の戻ると、母が大きな声でいうのです。「あんた、大変やで。東北で地震が起こって、津波の被害がものすごいことになっている」。私は、翌日から、岩手県に出張する予定になっていましたが、もちろんそれどころではありません。それからしばらくは、テレビやインターネットを通して、今、被災地で何が起こっているのかを知るために必死になりました。
■8月17日のエントリー「
プログ再開」にも書きましたが、年度がかわり4月に入ってから、facebookを通して情報交換した龍谷大学の学生・教員・職員・OB/OGの皆さんと、「復興支援プロジェクト・ともいきDAN」を結成しました。DAN=「団」とはいっても、緩やかなネットワークといったほうがよいかもしれません。東日本大震災を受け、大学にいる者にできる事を考えていこうと集まった有志の団体です。学生はもちろん、教員・職員、それぞれの立場で協力・活動し、多角的な支援を行うことを目的に結成されました。私、その活動なかで、微力ながら、学生たちの行なう活動を後方から支援してきました。
■10月13日は、この「復興支援プロジェクト・ともいきDan」が主催した「東日本大震災報告討論会-学生ボランティアが見た仮設住宅の今-」が、瀬田キャンパスで行なわれました(7日には、大学の本部のある深草キャンパスでも開催されました)。この報告会は、この夏、「
いわてGINGA-NET」プロジェクトに参加し、岩手県の沿岸各地にある仮設住宅で、コミュニティ形成支援のボランティア活動に取り組んだ学生たちによる報告会です。ここで、「いわてGINGA-NET」についても、少し説明しておきましょう。
■このプロジェクトは、以前勤務していた
岩手県立大学のボランティアセンターが主催しているものです。プロジェクトの公式サイトでは、以下のように趣旨を説明しています。
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3月11日に発生した大震災は、死者・行方不明者は二万五千人を越える大きな被害をもたらしました。避難所や応急仮設住宅で暮らす数多くの避難者の方の生活を支えるためには、長期的に様々な支援が必要です。
一方、この未曾有の被害に対し、力なりたいという学生も数多くおり、また大学等も夏季休暇に向けて、学生の活動を応援しようという機運も高まっています。
こうした被災地の要支援ニーズと学生のボランティアニーズを効果的に結びつけるために「いわてGINGA−NETプロジェクト」は結成されました。
具体的には、岩手県南部沿岸地域にアクセスのよい住田町を宿泊拠点として、岩手県内各地でのボランティア活動に参加する仕組みを、ネットワークを組んで進めていこう!という取り組みです。
企画・運営にあたっては、岩手県立大学学生ボランティアセンターが、県内のボランティア活動プログラム開発、マッチングや宿泊サポートを、
ユースビジョン及び
さくらネットが、全国の大学ボランティアセンター、及び学生ボランティア推進団体と連携して、学生ボランティアの募集、送り出しを行います。
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(ユースビジョン、さくらネットとは、NPO団体です)
■この「いわてGINGA-NET」プロジェクトには、2ヵ月間で146大学から1086名の学生が全国から参加しました。参加には、大学単位で参加する方法と、個人の資格で参加する方法がありますが、龍谷大学の学生たちは個人の資格で参加しました。龍谷大学では、公式に大学としてボランティアを宮城県に派遣しました。
詳しくは、こちらをご覧ください。龍谷大学は浄土真宗の宗門校です。浄土真宗仙台別院が仙台にあり、そこを基地に、被災地へ学生や職員のボランティアを派遣しました。あえていえば、大学の組織としてトップダウンに行なったボランティア活動です。それに対して「
ともいきDAN」の活動とは、有志がボトムアップに立ち上げてきたものといえます。
■さて、「ともいきDAN」の「東日本大震災報告討論会」ですが、以下のようなプログラムで進行しました。
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1.いわてGINGA-NETの概要
2.地域による現状の違い(文学部4年生 高蔵大樹)
3.住民が抱えている問題(政策学研究科1年 千代苑子)
4.高齢者のようす(社会学部3年生 廣本篤司)
5.子どもたちのようす(社会学部3年生 大門篤)
6.報道と現状の違い(文学部1年生 南有紀)
7.学生ボランティアにできること(社会学部3年生 脇戸朋也)
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■参加人数は20名程と少なかったのですが、学生だけでなく一般の方もおこしくださり、活発な質疑応答も行なわれ有意義な報告会になったと思います。報告会の詳細については、いずれ「ともいきDAN」の公式サイトにアップされることと思いますのでそちらをご覧ください。とにかく、最初、学生たちは、東北の被災地に行って何かをしなければ…という思いから「いわてGINGA-NET」に参加したわけですが、実際に行ってみると自分たちの予想を超えるのような現実がそこには存在していました。被災地の現場のなかで様々な課題の発見をし、ささやかではありますが、学生だからできるボランティア活動に取り組んできました。そして、自分たちが経験したこと、知ったこと、感じたことを、被災地の現実を、被災地から遠く離れた自分たちの大学の仲間にまずはちきんと伝えたい…そのような思いでこの報告会は実施されたのでした。今後、岩手県立大学ボランティアセンターが「いわてGINGA-NET」の活動をどのように継続していくのかまだわかりません。また、学生たちはいずれ大学を卒業していきます。しかし、被災地に寄り添い続けるためには、「ともいきDAN」という団体=ネットワークとして何をすべきなのか、個人の経験を伝えるということを超えて考えていく必要があるようにも思いました。

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