昨日、結構歩いたので、身体が熱く、寝袋の中で、汗をかいた。お握りを二個、口の中に押し込んでから、昇仙峡方面へと走る。太刀岡山登山口を過ぎ、観音峠へと向かうが、ゲートが締まっていた。
(黒富士農場)へと向かい、林道の様子を聞いてから、(越道峠)へと車を走らせた。細く荒れた道だったが、何とか峠に着いた。小さなスペースがあり、道標の脇に車を止めた。昨日と違って、今日は雲が多い。
一服してから、歩き始める。大きなピークを越え、小さなピークを幾つか越えて行くと、石の祠の立つ、『太刀岡山』山頂だった。三角点を撫でてから、倒木に腰をおろして、少しの間、のんびりとする。
しかし、かいた汗はすぐに冷え、寒くなってきた。石祠に手を合わせてから、越道峠まで戻り、北側の階段を登っていく。先に見事な三角形をした山が見えている。あれを越えて行くとなると、大変だな、などと思いながら、細い尾根道を登っていく。
左手奥に見えるのが、曲岳の様である。長い尾根歩きが終わると、急に立ち上がった斜面に取り付いた。凄く急傾斜をしている。すぐに汗が出てきた。ゆっくり登り始めると、すぐにトラロープが出てきた。ロープを頼りに、一歩一歩、足を上げて行く。しかし、長い登りである。ロープは山頂肩まで続いていた。
やっと平らになり、石に腰をおろした。とんでもない登りだった。水がうまい。目の前に見える三つのピークはなんという山であろう。ここがピークと思っていたら、少し歩いた先のピークに『鬼かく山』と書かれた山名標識が付けられていた。
しかし、道は、ここから急激に落ち込んでいた。今度は、ロープはなさそうである。ゆっくりと足をおろしていく。やっと下った鞍部からは、小さなアップダウンが続いた。右側に黒富士らしきピークが見えるが、昨日の棚山と同じで、中々、黒富士へと続く尾根に乗らない。
昨日の疲れが出てきたのか、足が重い。小笹のピークを過ぎ、カヤとの斜面を登ると、『八丁峰』の小さな山名標識を見た。ここから右へと少し下った所が曲岳との分岐だった。岩場を少し上がると、(山梨百名山)の標柱のあるだけの狭いピークだった。かなり疲れた。曲岳は、どうしようかと時計を見ながら考える。
折角だからと、行くことにして、先程の分岐まで戻る。八丁峰を右から回る様に道が続いている。一面雪になった。運動靴が可哀そうである。八丁峠から小さなコブを幾つか越え、急な斜面に取り付く。岩壁が現れ、左に歩き、木々を掴んでの急登が始まる。
登り着いた『曲岳』山頂は、まあまあの展望だった。少し下の(展望舞台)からは、富士山とそれを取り巻く山々が眺められた。太刀岡山や鬼かく山、黒富士など、歩いた山々も灰色の雲の下にその山形を見せていた。とてもいい気分であり、満足である。岩に腰を掛け、しばらく時を過ごす。バナナを食べていると、雲の間から太陽がちょこっと顔を見せた。

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